ふたりソロキャンプ 14 イブニングKC
著:出端祐大
出版社:講談社
いつか自分のキャンプ場を作りたい。
出会いから一年が経ち、厳(げん)はそんな自分の夢を雫(しずく)に話そうと決意。
雫がチョイスした田貫湖キャンプ場で、夢の話をしようと決めた。
しかし、いざ話そうとすると、気恥ずかしさもあり切っ掛けがつかめず……。
あらすじ
厳は元カノの花夏(かな)と自転車キャンパーの結衣(ゆい)に話した自分のキャンプ場を作るという夢を雫に話そうと切っ掛けを探す。
しかし、雫の料理に舌鼓を打ちながら、彼女の質問、冬の寝袋についてに答えたりしているうちに、言い出す切っ掛けを無くしてしまう。
そんな話のあと、話題は出会ってそろそろ一年という事に流れた。
その話題の中で、厳は自分も雫に渡したいものがあると告げた。
厳が雫に渡したかったもの。
それは小ぶりなナイフだった。
かつて父親と一緒にキャンプをしていたころ。
一人でテントが張れるようになり、一人で焚火が起こせるようなり、ある程度の事が自分で出来るようになると、父は厳に小さなナイフを手渡した。
幼い厳にはそのナイフが一人前の証のように感じられた。
最初はテントもまともに建てられなかった雫。
そんな彼女も、友人を誘い厳に頼る事無くキャンプができるようになった。
一人前のキャンパー。
厳はその証として小さなナイフを雫に送った。
そのナイフを手にした雫は、卒業したくないですとボロボロと涙を流した。
感想
今回は田貫湖でのキャンプでの料理から始まり、冬の寝具、一人前とナイフ、夢が話せない厳と照り焼きミニビア缶チキン、翌朝、夢を話した厳とその意味に悩む雫、雫の答えと車キャンプ、ダッチオーブン料理とハードクーラーの他、特別編として石川でのキャンプの様子が収録されました。
その中でも今回は、レンタカーを借りた雫の持ってきたギアが気になりました。
これまで二人のキャンプは徒歩という事もあり、道具はコンパクトなものに限られていました。
車キャンプのエピソードでは、そんな制限のある徒歩キャンプとは違い、テーブルや椅子、ダッチオーブンなど徒歩では持ち歩きづらいアイテムが登場しました。
キャンプの道具はコンパクトで機能美に優れた物が多く、見ていて楽しいですが、バーナーなど、その小ささゆえに作れる料理にも制限があるように思います。
作中話題に出たアウトドア用のコンロなどがあれば、作れる料理の幅も広がるでしょうし、何より調理時間の短縮につながりそうです。
厳のように缶詰やレトルト食品をつまみにお酒を楽しむのも楽しそうですが、本格的でより手の込んだ料理を野外で食べるのも魅力的だなぁとエピソードを読んでいて思いました。
まとめ
厳の夢であるキャンプ場。
彼はこれまでの自分、過去、何も知らなかった子供の頃や、初めてソロキャンプをした学生時代、そして今、現在。
そんなどの時代の自分も楽しめるキャンプ場を作りたいと考えているようでした。
キャンプに慣れた玄人だと、至れり尽くせりでは楽しめない。
キャンプに不慣れな初心者だと、サポートがないとどうすればいいか分からない。
そんな経験に差のあるキャンパー達が全員楽しめるキャンプ場。
それがどんな形になるのか。それが出来上がった時、雫は厳の隣にいるのか。
厳が夢をどう実現させていくのか、先が気になります。
この作品はイブニング公式サイトにて第一話が無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。