太陽と月の鋼 5 ビッグコミック
著:松浦だるま
出版社:小学館
妻である月を奪った陰陽師達を総括する土御門家の当主、晴雄(はれたけ)。
彼の指南役として招かれた天狗に師事した男、高山嘉津間(たかやま かつま)は蟲使い、斑(まだら)との戦いで傷ついた鋼之助(こうのすけ)に晴雄の目的を語る。
登場人物
天朸(てんろく)
鋼之助が賭場で出会った男
真っ赤な右目を持つ小柄な男。
嘉津間の術で下総の諏訪明神へと飛んだ鋼之助が、その途中で落ちた賭場にいた。
運の力を持つらしく、賭け事で負ける事がない。
繁蔵(しげぞう)
賭場を仕切るやくざ
鋭い目つきの細面の男。
天朸や鋼之助の持つ超常の力に気づき、手下が賭けに介入する事を止める。
権之丞(ごんのじょう)
賭場にいた男
天朸との勝負に情婦を賭けるが……。
お鶴(おつる)
権之丞の妻
博打と浮気の止まない権之丞を想い、お百度参りを行っていた。
あらすじ
強大な通力を扱いきれず、幼くしてその命を落とした晴雄。
父親の土御門晴親(つちみかど はれちか)は土御門家に伝わる禁忌の法、泰山府君祭を行い失われた晴雄の命を継いだ。
しかし、その事で晴雄の中に彼とは別の何かが巣食ってしまった。
晴雄は九尾の残した殺生石を開放し、迫害される陰陽師や通力を持つ者の救済を行おうと計画していた。
それを聞いた嘉津間は殺生石の危うさを語り、晴雄を諫める。
殺生石。あれに封じられているのは玉藻前などではなく、封じられた事で怨念をため込んだ世を滅ぼす厄災の類。
正しく使えば人間の為、世の為となる。
通力使いの救済を訴えた晴雄に、晴親は刃を向けた。
殺生石の力を使えば、この世を更地にする事もできる。
晴親は自分の招いた不始末に決着をつけるつもりだった。
しかし、振りぬいた刃を晴雄は通力を使い、その身を宙に浮かべ躱し向けられた刃を父、晴親の腹に突き立てた。
感想
今回は冒頭、嘉津間の語る晴雄のエピソードから始まり、月と背守り、嘉津間の力で下総、諏訪明神へ、賭場と天朸、半丁博打、天朸の力、運の力を持つ天朸との勝負などが描かれました。
今回はその中でも天朸のエピソードが印象に残りました。
運の力を持つ天朸。
その力は博打において発揮され、彼の意志に関わらず負けることが出来ないようです。
そんな強力な力を持ちながらも、彼は大事なモノを守れなかった様子。
すべてを失い死を求める天朸に、鋼之助たちは勝つことが出来るのか。
賭け事に縁の無かった鋼之助がどう立ち向かうのか、続きが気になります。
まとめ
殺生石は単に九尾の封じられた姿では無く、怨念を孕みより邪悪な存在となっている様です。
そんな呪詛の塊のような殺生石を晴雄はどう制御するつもりなのか。
晴雄に取り憑いた者の正体とは。
次巻も読むのが楽しみです。
この作品は、pixivコミックにて一部無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。