暁の犬 4 SPコミックス
漫画:高瀬理恵
原作:鳥羽亮
時代考証:山田順子
出版社:リイド社
標的の一人、高島左近(たかしま さこん)への襲撃は相手に悟られ待ち伏せされた事で失敗に終わった。
佐内(さない)は何とか逃げ延びるも、待ち伏せしていた者の一人に肩を切り付けられ傷を負う。
道場に戻り、その傷を治療していた佐内はその様子を満枝(みつえ)に目撃され……。
登場人物
立木野伝蔵(たてきの でんぞう)
益子屋が標的の一人、高島左近を始末するため送り込んだ刺客
黒髪ポニーで髭のおじさん。
体術に特化し刀相手でも無手で相手に肉薄し、手刀にて首の骨を砕く。
佐内に二胴(ふたつどう)に勝つためのヒントを与える。
おはつ
水野家下屋敷で働く下女
雑貨売りとして屋敷に入り込んだ亀吉(かめきち)は狗(いぬ:隠密)だろう小黒(おぐろ)と佐治(さじ)の情報を彼女から聞き出すのだが……。
藤崎甚右衛門(ふじさき じんえもん)
おしまが佐内に紹介した娘、満枝の父親
穏やかな雰囲気のおじさん。
以前は御家人として禄を得ていたが、同輩の不行跡をたしなめ逆に不正を告発され禄を失った。
剣術よりも学問に傾倒し、現在は子供たちに勉強を教え糊口をしのいでいる。
武士として剣の道に生きる佐内を若鷹と称し、娘、満枝との婚姻を願う。
間瀬宇之輔(ませ うのすけ)
依頼主である相良(さがら)の部下、久松吉兵衛(ひさまつ きちべえ)の配下
二胴の使い手の名を突き止める。
川越恭之介(かわごえ きょうのすけ)
佐内の父の仇、二胴の使い手
ずんぐりとした体で見開いた目の男。
水野配下の侍たちに二胴を指南している。
あらすじ
傷を見た満枝は事情を尋ね佐内に寄り添う。
しかし日の当たる道を歩む満枝と、人斬りを裏稼業としている自分を比べ彼女に強く当たってしまう。
「……俺の遣う富田流居合は……人を斬るための剣法だ!!」
道場の微禄で食べていけるはずがない。
自分は人斬りをする事で今の暮らしを続けているのだ。
暗にそう伝え背を向けた佐内の手から、満枝は血止めのさらしを奪った。
満枝はその後、何も言わず彼の傷にさらしを巻いていく。
そんな満枝と自分が斬った稲垣の女、おまつの姿が被る。
佐内は思わず満枝の腕をつかみ、彼女を引き寄せ唇を奪った。
その後、着物を脱がそうとした佐内を満枝は一旦は突き飛ばすも、次の瞬間には自ら唇を寄せていた。
翌朝、満枝が帰った後、追い返すべきだったのにと佐内が自省していると、襲撃を知った亀吉が道場へとやってきた。
亀吉に連れられ向かった先、深川の御船宿で口入屋の益子屋(ますこや)の他、根岸(ねぎし)も宿に呼ばれていた。
襲撃の失敗は亀吉が逆につけられた事が原因らしい。
相手方にも探索に長けた者がいる。
こちらの素性もすでに知られているかもしれない。
「奴らに付け狙われるとなれば―――江戸を逃げ出すか、死に物狂いで高島達を斬るかだな」
「どうなさいます?」
益子屋の問いかけに根岸は江戸を離れても野垂れ死にするだけと答えた。
「俺は―――なんとしても二胴の遣い手を斬りたい……」
佐内はもはや“仕事”ではないと感じていた。
奴を仕留めないかぎり、自分は剣客としては先へ進めない。
二人の言葉を聞いて益子屋も腹をくくり、総出でいくことを宣言した。
感想
今回は待ち伏せにあった佐内たちの今後から始まり、立木野伝蔵による高島の始末、犬使い瓢三(ひょうぞう)の死、小黒と佐治を探る亀吉、二胴の稽古場所、立木野による二胴攻略の糸口、亀吉の死、満枝の父、藤崎甚右衛門との顔合わせ、二胴の遣い手、根岸の死等が描かれました。
今回は瓢三から始まり、密偵として動いていた亀吉、佐内と同じく剣客として益子屋に雇われていた根岸と佐内の仲間が次々と殺される事になりました。
多くの犠牲を出しながらも、それでも佐内はようやく二胴の遣い手、川越恭之介へとたどり着きます。
またこの巻では、満枝と佐内は一線を越え佐内自身も彼女に魅かれている事に気付きました。
人斬りを裏稼業としている佐内は、満枝と家庭を作る事にまだ躊躇している様子。
しかし、彼女の父親、藤崎には待ってほしいと告げていました。
根岸は情婦であるお甲を餌におびき寄せられる事になりました。
満枝もまた餌に使われるため、狙われるのか。
佐内はその前に川越を斬れるのか。
次回の展開が気になります。
まとめ
人斬りとして生きている事で後ろ暗さを抱えている佐内。
彼が満枝と共に歩む未来はあるのか。
二人の恋の行方も気になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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