しあわせは食べて寝て待て 3 秋田レディースコミックスデラックス
著:水凪トリ
出版社:秋田書店
膠原病を患い、疲れやすさから週四日しか働けない女性、麦巻さとこ。
彼女は団地で知り合ったニートの司(つかさ)と八つ頭がのほほんとしている事に苛立ち、つい怒りをぶつけてしまう。
そんな事のあった翌日、さとこは朝早く、荷物を背負った司が出かけていくのを目撃してしまい……。
登場人物
司の元婚約者
祖母を介護し、その後、母を介護していた司と交際していた。
彼女は結婚を望んでいたが、ずっと家族に縛られていた司は自由を選び、彼女とは破局した。
シメ田(しめだ)
団地に住む女子高生、弓(ゆみ)に服を勧めたショップの店員。
黒髪ロングでサングラスに無精髭の青年。
店での立場は弱いようだ。
弓の母
夫に不満を抱きつつも、それを言葉に出さず内にため込んでいる。
弓が父親に文句を言った際も、やんわりと弓をたしなめた。
そんな母の態度に弓はストレスと憤りを感じているようだ。
りく
団地に住むOL
腰の悪い母親と頼りにならない弟、大輔(だいすけ)の面倒を見るため、二人が住む団地に部屋を借りた。
そんな生活にいささか疲れているようだ。
あらすじ
自分に薬膳の事を教えてくれ、色々とアドバイスにも乗ってくれた司。
そんな司に、楽しそうな人々と楽しくない自分との格差による憤りをぶつけてしまったさとこ。
その事で気まずさを感じていたさとこだったが、早朝、出かけようとしていた司は窓から覗くさとこに気づき手を振ってくれた。
怒っていないとホッと胸をなでおろしたさとこだったが、安心したと同時に司がどこへ向かったのか気になり始めた。
その夜、司が居候している家の主、老女の鈴(すず)の事が気になったさとこはお隣さんであり、大家でもある彼女の家を訪れる。
鈴は居候の代わりに司に料理を作ってもらっていたが、元々、一人で過ごしていただけあって、その日はずっと食べたかったインスタントラーメンを食べたのだと言う。
その後、話を聞けば、司は時々、ふらりと山に行ってしまうそうだ。
彼女が言うには、いつも団地の年寄りばかりと会っているので、自分を取り戻しに行くのだろうとの事。
さとこも行けばいい。
鈴はそう言って山に行くことを進めてくれたが、さとこはパートがあるからと申し出を断った。
しかし、部屋に戻ってからも、翌日の仕事中も山の事が気になって仕方がない。
結局、さとこは次の日、休暇をもらい、司のいる山へと向かう事にしたのだった。
感想
今回は司の向かった山のお話から始まり、司の過去と元婚約者、鈴と司の出会い、弓と家族と負のループ、レンタルルームとお米券、脂漏性角化症(いぼ)とはと麦茶、OLのりくとしあわせ等が描かれました。
その中でも今回は、団地に住む女子高生、弓とその家族の話が印象に残りました。
彼女の父親は家では何もせず、好き勝手に過ごしています。
母親はそんな父親に不満を抱きつつも、弓が父親に文句を言った事にほくそえみながら、口では父親を擁護するような言葉を弓に投げかけます。
何度迷惑だと言っても変わらない父親。
そんな父親に苛立ちつつも、表面上は彼を立てる母親。
変わらない環境に弓は苛立ちを強め……。
いくら家族であっても合わない相手はいると思います。
家族は一緒に暮らさなければならない。
そんな事は無く、辛いのなら離れてしまうのが一番だと思います。
我慢しため込み続ければ、いずれは心身を病んでしまう。
そうなるぐらいなら、距離を取るべきだ。
関西の大学を受験し、家から出ようとしている弓。
彼女が大学に合格して、両親と離れて暮らせるようになればいいな。
エピソードを読んでいて、そんな事を思いました。
まとめ
この巻のラスト、団地に住むOL、りくが登場しました。
なんだかお疲れ気味のりく。
彼女がどんな風にさとこ達と絡むのか、次巻も楽しみです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。