大蛇に嫁いだ娘 3 ビームコミックス
著:フシアシクモ
出版社:KADOKAWA
狼に襲われ傷ついた僧侶を助けたミヨ。
しかし僧侶は師を殺した大蛇に復讐を誓っていた。
そんな僧侶に大蛇は苛立ちを見せる。
大蛇が僧を嫌う理由。
それは彼がかつて黒蛇だった頃に遡る。
登場人物
黒蛇
黒いうろこを持つ大蛇
冬眠から目覚め、お気に入りの梅の木で寝ていたキヌと出会う。
キヌ
身寄りのない娘
黒髪ショートの少女。
寺で暮らし、村の男たちに体を売って日銭を稼いでいる。
住職
キヌが暮らす寺の住職
年老いた僧侶。
彼もまた、キヌの体を求めた。
ミチ
ミヨの母
夫が殺人の疑いをかけられ自死した事で精神を病み、現在はただぼんやりと過ごしている。
あらすじ
ある春の日、冬眠から目覚めた黒蛇はお気に入りの梅の木で眠っていた少女、キヌと出会う。
黒蛇はかつて雨をもたらす者として村人から信仰されていた。
しかし、黒蛇に雨を降らせる力は無く、村人は干ばつの際、村を訪れた僧の言葉を信じ雨が降らないのは黒蛇がいるからだと思い込んだ。
村人は僧に黒蛇を殺してほしいと願い乞う。
その願いを受けて、僧は法力を使って黒蛇に呪いをかけた。
旅の僧は己の居場所を作るため、村人を騙し日照りの責任を全て大蛇に押し付けたのだ。
僧の法力により傷ついた大蛇は、勝手に崇め、勝手に邪魔者とした人間に絶望し、人から距離を置いていた。
人間を憎み嫌いながらも、黒蛇は自分を恐れぬ若く美しいキヌにどうしようもなく魅かれていた。
感想
今回は大蛇の前身である黒蛇とキヌ、そして僧との因縁から始まり、若い僧と大蛇、ミヨの弟、渉(わたる)の来訪、里帰り、喜助(きすけ)殺しの真相、いなくなったミチなどが描かれました。
その中でも今回は黒蛇とキヌのエピソードが印象に残りました。
身寄りのないキヌは、寺で寝泊まりしながら村の男たちに体を売って日々を過ごしていました。
生き方が選べず、その事に絶望していたキヌ。
彼女は生きる事に希望が見いだせず、黒蛇に食われることを選びました。
黒蛇もまた、キヌと共に生きる道ではなく、食らい自分の血肉とする事でキヌを永遠に自分のものにする事を選択しました。
15歳で舞い落ちる花びらの様に儚く散ったキヌ。
大蛇は彼女との日々を覚えていたから、ミヨを食うのではなく共に暮らす道を選んだようです。
ミヨがキヌの分まで幸せになってくれれば……。
エピソードを読んでいて、そんな事を思いました。
まとめ
この巻のラスト、ミヨの母、ミチの姿が家から消えました。
心ここにあらずな状態だった彼女はどこへ行ったのか。
続きが気になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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