あかね噺(ばなし) 2 ジャンプコミックス
原作:末永祐樹
作画:馬上鷹将
出版社:集英社
落語は磨いた芸を見せてなんぼ。
そう考えていた朱音(あかね)を兄弟子、享二(きょうじ)は居酒屋”海”で働かせる。
当初、朱音は客の要望を無視して空回りしていたが、やがて店主、御来屋(みくりや)のアドバイスもあり、客が何を求めているのか、その為に自分に何が出来るのかを考え始める。
気働き。
相手の事を考え、動く落語家の基礎を店で学んだ朱音は享二に連れられ老人ホームでその成果を披露する事となる。
登場人物
石清水真智子(いわしみず まちこ)
朱音の担任
ショートカット眼鏡の女性。
進学も就職もせず、志ぐまに弟子入りする事を決めている朱音を諭す。
尾崎(おざき)
小学生時代からの朱音の友人。あだ名はジャンボ。
黒髪鼻テープで体の大きな青年。
幼い頃は朱音の父親、志ん太の事で朱音をからかったりしたが、現在では朱音の落語の撮影に協力するなど良き友人となっている。
阿良川こぐま
志ぐまの弟子の一人
ボブカット眼鏡の青年。
学者気質で高座にかける噺について時代背景、風俗、場所に至るまで徹底的に調べ、それを噺に盛り込むスタイル。
樫尾公久(かしお きみひさ)
月間落語記者
茶髪顎鬚の男。
学生落語選手権大会、可楽杯から新たなスターの誕生を予感する。
古味沙恵(こみ さえ)
月間落語記者
黒髪ショートでそばかすの女性。
樫尾の後輩。
落語雑誌の記者であるが、そこまで落語に詳しい訳ではない。
逆にアニメについては非常に詳しい。
練磨家からし(ねりまや からし)
去年と一昨年と可楽杯で優勝した優勝候補の一人
黒髪オカッパの大学生。
古典を現代風にアレンジした落語で若者の受けを狙う。
高良木ひかる(こうらぎ ひかる)
人気声優
ショートカットの美女。
容姿で人気が出たが、本人は実力を認められたいと可楽杯への出場を決めた。
演技に感情を乗せる劇場型落語で客を魅了する。
あらすじ
兄弟子、享二の前座として老人ホームの高座に上がった朱音。
老人ホームという事で客は当然、年配の人々ばかり。
前回、朱音は客の事を二の次にして、自分の芸を見せる事だけに集中していた。
享二に言わせれば、それは150キロのボール球を投げているようなもの。
客のストライクゾーンに入らなければ、笑いを取る事など出来ない。
居酒屋、海で学んだ気働き。
その成果として、まず朱音は自分の事を知ってもらおうと、自己紹介から始めた。
その過程で観客を温めつつ、場の空気を探る。
会場で興味なさそうな老人に笑みを送り、意識を自分に向けさせた朱音はおもむろに噺を始めた。
今回の演目は”子ほめ”。
ただ酒が飲めると聞いてご隠居の下を訪れた八五郎が、ご隠居から人のほめ方を教わり、的外れなお世辞で大人や子供を褒める様を語る前座噺だ。
朱音は当初、客層に合わせゆったりとしたテンポで噺を進めた。
その事で客は噺に入り込んでいく。
それを見て胸をなでおろした享二だったが、噺が進むうちテンポが上がっている事に気づいた。
朱音は自分の芸が一番活きるリズムでやるため、徐々にスピードを上げ、客の耳を慣らしたのだ。
以前、彼女はストライクゾーンに入らない剛速球を投げていた。
だが今回は球速はそのままに、相手のストライクゾーンを拡げる道を選んだのだった。
感想
今回は冒頭、老人ホームでの高座から始まり、兄弟子享二の落語、進路と担任教師、学生落語選手権”可楽杯”への出場、寿限無と言葉、兄弟子こぐまの落語、可楽杯予選の始まり等が描かれました。
父、志ん太(しんた)が阿良川一生(あらかわ いっしょう)に破門を言い渡されて六年。
朱音は志ぐま(しぐま)の下で修業を積んできました。
その事で噺家としての地力はかなりのもののようです。
ただ、高座に上がった経験は少なく、朱音は兄弟子から噺家として大切な事を学びながら腕を上げていきます。
そんな朱音に優勝すれば、志ん太を破門した一生と話せるという可楽杯の件が舞い込み……。
師匠、志ぐまから演目は寿限無と指定された朱音は優勝できるのか、一生が志ん太達を破門にした理由とは。
次巻も楽しみです。
まとめ
寿限無は落語に詳しくなくても、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
そんな誰もが知る寿限無で朱音はどう賞レースを乗り切るのか、朱音の寿限無がどんなものになるのか。そちらも楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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