亜童 5 ヤンマガKCスペシャル
著:天野雀
出版社:講談社
植物の力を宿した作り出された能力者、亜童。
その研究者である乾(いぬい)は失敗作たちに捕らえられたエイトに執拗に拷問を続け、自分の言葉通りに動く操り人形に変えた。
乾はそのサディスティックな性格と行動から、過去に志賀(しが)を中心に亜童への虐待を告発され左遷された過去があり、研究所の職員たちに恨みを抱いていた。
彼はその復讐の為、エイトを使い職員を攻撃。
志賀にもエイトをけしかける。
そこに辻浦(つじうら)達、実働部隊も合流。
志賀を守る為に失敗作の生き残り三人も参戦し、研究所は混乱を増していく……
登場人物
加里屋(かりや)
亜童プロジェクトの支援者の一人
黒髪ピアスの青年。
プロジェクトの全権を得ようと暗躍している。
ユーゴ
研究所で暮らす亜童の一人
黒髪の大人びた男の子。
他の子供と慣れ合わず、一匹狼な少年。
亜童としての力は擬態能力。
エイトとは同世代。
タイガ
研究所で暮らす亜童の一人
黒髪そばかすの少年。
ガキ大将的存在で、慣れ合わないユーゴに喧嘩を吹っ掛ける。
亜童としての能力は腕を棘の刃に変える。
あらすじ
乾の言いなりとなったエイトと、シオン、ジョー、ハルの失敗作三人がぶつかる中、辻浦はエイトを生け捕りにする様、志賀に命じた。
志賀は操り人形のエイトを止めるには殺すしかないと返すが、辻浦はエイトの生け捕りにこだわりを見せた。
辻浦はエイトの能力を高く評価しており、エイト自身に理性が無いなら、移植すればいいと話を続けた。
能力の移植は不可能な筈、それは失敗作から植物を取り除こうと研究を続けて来た志賀が一番よく知っていた。
そんな志賀の脳裏に一つの可能性が浮かぶ。
「まさか……」
志賀が辿り着いた結論に辻浦は「そうだ」と静かに告げた。
移植が可能になったのは三年前。
それを聞いた志賀は激高し辻浦に掴みかかった。
「なぜそれを今までオレに黙っていた! なぜもっと早く……」
「なぜお前に言う必要がある」
何の感情も示さない辻浦の目を見て、志賀は膝から崩れ落ちた。
癒しの力を持つ亜童、ユアン。
彼は亜童から植物の種を取り除ける様になっていた。
一方、乾のクーデターにより、鈴木(すずき)は上からの指示を受けて行動を開始する。
彼は警備主任を脅し、施設を水没させるボタンを押させた。
感想
今回は乾のクーデターが発端となり、沈められる事になった研究所のエピソードから始まり、教祖となったユアン、プロジェクトの支援者達、研究所からの脱出を図る辻浦と志賀、潜水艇での脱出、正気に戻ったエイト等が描かれました。
その中でも今回は辻浦と志賀の過去が印象に残りました。
辻浦には病に侵された母がおり、ユアンの力に母親が助かる道を見出しました。
しかし、彼の母親が助かる事は無く彼は変わってしまいました。
潜水艇での脱出時、水密ドアが破損し外側からしか閉められない状況の中、志賀は辻浦との過去を思い出し、昔を思い出せと告げシオン、ジョー、ハルの三人を辻浦に託し潜水艇のドアを閉めました。
力は救うために使え。
シオン達にそう言い残し海に散った志賀は、最後の最後までカッコ良かったです。
まとめ
この巻のラスト、正気を取り戻したエイトは乾から黒幕について聞き出します。
黒幕の狙いは何なのか、エイトは黒幕に対してどんなアクションを起こすのか。
辻浦と託された失敗作たち、胡散臭い新興宗教に捕らわれたリコとユアン、動きの見えない下呂とレイジ。
物語がどんな展開を見せるのか、先が楽しみです。
この作品はヤングマガジン公式サイトにて無料で第一話がお読みいただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。