ツチノコと潮風 下 路草コミックス
作:河野別荘地
出版社:トゥーヴァージンズ
実家であるウツミ竹輪店を辞めスーパー「コミット」で働き始めた洋介(ようすけ)。
竹輪店では配達係として重要な仕事は任されていなかった洋介だが、彼の人当たりの良さが社内の雰囲気作りや、客の評判にもつながっていた。
洋介の兄、副社長である航平(こうへい)は洋介が辞めたことでそのことに気づき……。
登場人物
成山(なりやま)
村田(むらた)が学生時代バイトしていたスーパーの店長
黒髪眼鏡のおじさん。
アナウンサーを目指し就活していたが、内定のもらえない村田を社員に誘う。
越野マヲミ(こしの まをみ)
合花(あいか)が憧れているインスタグラマー
黒髪ロングで前髪パッツンな美少女。
様々な服を着た写真をインスタに投稿している。
その中のいくつかは手作りのようだ。
そのことを知った合花は服作りに挑戦する。
あらすじ
竹輪店を辞め、村田が店長を務めるスーパー「コミット」で働き始めた洋介。
彼はコミットでもその人当たりの良さから、客受けが良く入店して間がないのに人気者になっていた。
閉店後、車の運転に自信がない村田の隣に乗り、洋介は運転を教える事になった。
その運転中、村田は洋介が気になっている合花の姉、月乃(つきの)とは合花に頼まれて会っただけで、何でもない事を伝える。
それを聞いた洋介は、村田から顔をそらし笑みを浮かべた。
洋介が月乃と知り合ったのは六年前。
高3の夏だった。
その日、兄、航平に成績の事で小言を言われた洋介は、飼い犬のカールを連れて散歩へと出かけた。
自転車にカールを乗せたどり着いた先、渓谷遊歩道。
その日、カールは普段行かない滝への道を駆け上がった。
そのカールを追って洋介が山道を登ると、そこには草の上、月乃が目を閉じ横たわっていた。
感想
下巻ではスーパーで働き始めた洋介から始まり、彼と月乃の出会い、航平と洋介の関係性の変化、村田がスーパーに就職した理由、インスタと服作り、村田、東京へ戻る、お祭りの日、合花、島を出る、みんなのその後などが描かれました。
今回はその中でも、スーパーで働き始めた洋介のエピソードが印象に残りました。
上巻では、兄がすべてを決めるちくわ店の配達係として不満を抱いていた洋介でしたが、彼は配達業務を行いながら、顧客の好みや需要、客との対話を行っており、その事で商品の売り上げに貢献していたようでした。
昔、聞いた話で優秀な車ディーラーの営業は、顧客との交友関係の構築に力を注ぐと聞いたことがあります。
ちょっとした事でも顔を出し話を聞いたり、フットワーク軽くトラブルに対応したり。
そういった信頼関係の構築により、次の車は彼のところで買おうと客たちは考えるようでした。
洋介がやってきた仕事を見て、そんなことを思い出しました。
まとめ
物語冒頭、特に目標のなかった村田は島での出会いで夢に向かって進み始めました。
また、島の少女、合花も自分の夢を叶えるため、島を出て東京で暮らし始めます。
自分の居場所は人それぞれ、今の場所が嫌なら居心地のいい場所に行けばいい。
読み終えてそんなことを感じる作品でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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