あおのたつき 6 ゼノンコミックスBD
著:安達智
出版社:コアミックス
新吉原京町二丁目、羅生門河岸の角、九郎助稲荷のその奥。
浮世と冥土の境となる場所に冥土の花街があるという。
今日もそこに道に迷った亡者が一人。
登場人物
ちどり
濃紫(こむらさき:あお)付きの禿
花魁の使いをする遊女見習い。
暗権八(はらい ごんぱち)
濃紫の客の一人
泣き黒子に入れ墨のイケメン。
自らと同じく嘘で固めた濃紫に親近感を抱く。
濃紫の母親
三浦屋に度々、金の無心に訪れるようになる。
濃紫の妹、コウをダシに使い彼女から金をむしり取る。
猪吉(いのきち)
三浦屋の若い衆
濃紫の母が飲み屋で散財しているのを見かけ、その様子を濃紫に伝えた。
夕顔(ゆうがお)
三浦屋の遊女
遊女、朝妻(あさづま)が流したデマに苦しんでいたが、濃紫の助言により気持ちを救われる。
ソメ
三浦屋の遣り手婆
足抜けするために金をため込んでいた濃紫を怪しみ、彼女の部屋をあさる。
あらすじ
楽丸に想いを寄せる儚神白狐社(はかなむのかみびゃっこしゃ)の宮司、哀ゐ丸は言霊を使った鈴作りであおを試す事を提案した。
ただ、それは楽丸と共に暮らしているあおに対する嫉妬が多分に混じったものだった。
お神酒の力を借りてあおを罵る哀ゐ丸に、あおも負けじと言い返す。
やがてヒートアップした哀ゐ丸は、遊女であったあおの出自をけなした。
如何に酒の力が言わせたものであっても、言ってはならない事もある。
哀ゐ丸の失言の原因はお神酒だ。
こんな物があるから……。
楽丸はお神酒の入った角樽を抱え上げ捨てようとするも、お神酒を捨てる?とハッと我に返る。
お神酒は神に奉納された神饌の一つだ。
捨てるわけにはいかない。
場は楽丸が何とか収めるほかない空気になっている。
収まりがつかなくなった楽丸は角樽の栓を抜き、私が飲みますと一気に中身をあおったのだった。
感想
今回は哀ゐ丸宮司の出した鈴作りの試練から始まり、哀ゐ丸の正体と過去、恐れ丸宮司の修験と花魁時代のあお(濃紫)の姿が描かれました。
今回はその中でも、遊女だった濃紫(あお)の過去が印象に残りました。
遊女は大金を得ていても、身の回りの物はすべて自腹で用意せねばならず、位が上がるほどに必要な金は増える仕組みでした。
あおは他の花魁が遣り手婆にそそのかされ着飾るのを横目になるべく金を使わず、その金を家族に送っていました。
やがて、母親が金の無心に来るようになっても、妹、コウを思いなんとか金をねん出していました。
しかし、その妹がすでに母によって売られていた事を知り……。
表面上、華やかに見える花街。
しかし、遊女たちは金という名の鎖に縛られ、籠の鳥として搾り取られる日々を過ごしていました。
それは三浦屋の三番人気となったあおも例外ではなく。
終盤、足抜けを図ったあおがどうなったのか、続きが気になります。
まとめ
この巻ではあおの過去が語られ、彼女が金に執着する理由が描かれました。
どこかに売られたというあおの妹、コウ。
足が悪いというその妹がどうなったのか。
そちらも気になります。
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