葬送のフリーレン 9 少年サンデーコミックス
原作:山田鐘人
作画:アベツカサ
出版社:小学館
様々な依頼を受けながら北部高原を旅するフリーレン達。
彼らは魔王城のあった魂の眠る地(オレオール)を目指し旅を続ける。
登場人物
ゲーエン
北部高原トーア大渓谷で渓谷に橋を架けた老ドワーフ
バンダナ黒ひげのドワーフの老人。
軍隊が渓谷を渡る手段がなかった為に魔族によって故郷の村を失った。
勇者ヒンメルから資金提供を受け、橋を完成させたが鳥の魔物が橋の近くに住み着いた事で橋は渡れなくなった。
黄金郷のマハト
一級魔法使いデンケンの故郷である城塞都市ヴァイゼとその一帯を黄金に変えた魔族、七崩賢の一人
赤い髪で額に二本の角を持つ魔族の男。
魔族が持たない人間の感情に興味を持ち、デンケンの義父だったヴァイゼ領主に仕えた。
デイーアゴルゼ(万物を黄金に変える魔法)を使いあらゆるものを黄金に変える。
ただ、黄金に変えられたものは破壊も加工も出来ず、見た目が黄金なだけで金ではない。
フリーレンに勝利のイメージがつかめないと言わしめた強敵。
あらすじ
魂の眠る地(オレオール)を目指し旅を続けるフリーレン一行。
海と見紛う湖を渡り、三千メートルの大渓谷を抜け、見渡す限り白銀の雪原を超え一行は七崩賢の一人、黄金郷のマハトが封じられた城塞都市のあるヴァイゼ地方へとたどり着く。
そこでフリーレンは一級魔法使いレルネンから個人的な依頼を受ける。
依頼は大陸魔法協会から派遣された結界の管理者への助力。
その結界の管理者となっていたのは、魔法使い試験で戦った老魔法使いデンケンだった。
デンケンは元々、この地方の出身で彼が若いころ妻と暮らしていた屋敷もマハトに黄金に変えられた村にあった。
彼の暮らした村は数年前に黄金郷に飲まれたらしい。
結界でマハトを縛っているが、完全に抑える事は出来ず黄金郷は今も広がり続けているそうだ。
魔法協会の会長、ゼーリエはヴァイゼ地方が完全に黄金に変わる前に、マハトの寿命が尽きるだろうと予測し、彼を結界で閉じ込めるに止めたのだ。
デンケン自身、それでいいと考えていた。
そもそも結界の管理者に志願したのも、変わり果てた故郷を見て全てを諦めるためだった。
しかし、若くして亡くなった妻の墓参りに、黄金郷にある故郷の村に足を踏み入れた彼が見たのは、昔と変わらない思い出のままの街並みだった。
デンケンの脳裏に幸せに満ちた妻との時間が蘇る。
その事でデンケンはマハトと戦い、呪いを解き色鮮やかな故郷の景色を取り戻そうと決めた。
感想
今回は北部高原の旅の道中から始まり、デンケンの故郷を黄金に変えた七崩賢の一人、黄金郷のマハトとの対話の様子などが描かれました。
今回はその中でも魔族の精神についてが興味深かったです。
魔族は角等を持っていますが、その容姿は人と大差なく言葉によるコミュニケーションも可能です。
ですが、彼らの心に愛や哀れみ等の感情は存在せず、どこまでも自身の欲望に真っすぐ合理的に行動しているように思いました。
人を騙し殺す事、その肉を食らう事は魔族にとって生活の一部で、似ているからこそ、より一層、人との隔たりを読んでいて感じました。
基本的な価値基準の違い。
根本が違うから話し合いでの解決は出来ず、どこまで行っても平行線のまま、交わる事がない。
マハトとフリーレン達のやり取りを読んでいて、そんな事を思いました。
まとめ
デンケンはマハトに勝ち、故郷に色を取り戻せるのか。
どんな展開になるのか、次回も楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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