空挺ドラゴンズ 4 アフタヌーンKC
著:桑原太矩
出版社:講談社
空を泳ぐ龍を求め、旅をしながら龍を狩る「龍(おろち)捕り」たちのお話です。
船から落ちたタキタを回収し、数年に一度みられるかという龍の回廊に遭遇したクイン・ザザ。
タキタは空の大きさを改めて実感するのでした。
龍の子も無事に群れに帰し、タキタの帰還を喜ぶクイン・ザザの面々でしたが、雲の影から突然現れた飛行船と衝突の危機にさらされるのでした。
第18話 豪華船と賄いチーズバーガー あらすじ
刻一刻とお互いの距離が縮まる中、カペラに変わり、クロッコが操縦席に座る。
ギリギリ回避したかに思えたが、垂直翼が相手の船底に接触し破損、クイン・ザザは着陸はしたものの、修理は難しく航行不能に陥ってしまった。
相手の船はそのまま飛び去り、音沙汰無しだ。
船を傷付けられたクロッコはカンカンだった。
乗組員たちが解体作業を行う中、タキタは足の傷が癒えておらず、船に戻った事で気が抜けたのか、熱が出ていた。
ヴァニーはタキタを労り、何か欲しいものある?と尋ねると彼女は甘いものと答えた。
クイン・ザザで甘いものとは、なかなか難しい注文だ。
タキタもそれは分かっているので、言ってみただけですと付け加えた。
その後、作業に向かうヴァニーにタキタは、ただいまと言い、ヴァニーはそれにおかえりなさいと返した。
賄いは龍肉のチーズバーガーだった。
分厚いパテの上にたっぷりとチーズをのせた、ボリューム満点の一品だ。
食事が終われば寝るだけのニコは、昼間だというのにワインをがぶ飲みしている。
その様子を横目で見ながら、ヴァニーはヨシに甘いものが出来ないか尋ねた。
ヨシははちみつと木苺の砂糖漬けはあるけどと、それに答えた。
卵が無いのがネックらしく、甘いお茶ぐらいしかできないようだ。
ヨシはせめてゼラチンがあればと口にする。
それを聞いたミカが、無いなら作ればいいとヨシに声を掛けた。
そうか!と何か閃いたヨシは龍の立羽を取り出してきた。
立羽は龍のヒレや触覚の部位で、種類にもよるがゼラチンを多く含んでいる。
丁寧に下処理をして、ヨシはゼラチン液をつくった。
これでゼリーは作れる。あとクリームがあればパナコッタとかも作れるんだがと彼は口にした。
ヴァニーはジローが、オートジャイロで市まで出かけるのを聞き留め、同行する事を申し出た。
市に向かう道中で、当て逃げした船に遭遇した二人は、クイン・ザザを市まで曳航させようと船に近づいた。
発光信号でコンタクトを試みるが、反応はない。
ヴァニーはジローに、ジャイロを船の上ギリギリにつけるよう頼み、相手の船に飛び移った。
ヴァニーは顔を出した甲板長に、自分が空賊ではなく龍捕りである事と、船長との対話を要求した。
それと、と彼女は続けてこの船にクリームがあるかを尋ねた。
ブリッジでは、椅子に座った男が写真乾板を眺めている。
写っているのは、龍の群れを捕食していた三色錦王だ。
ヴァニーを連れて、ブリッジを訪れた甲板長が男にブルノ様と呼びかける。
どうやら写真乾板を見ている男が船長のようだ。
彼は甲板長がヴァニーの事を、接触した船の乗員だと説明した事に特に興味を示さず、あの不細工な船かと答え、どうでもいい君に任せると言い放った。
それを聞いたヴァニーは無表情でブルノに近づき、彼の襟をつかんで引きずり倒した。
ヴァニーは倒れた男にブルノを寄せて、船がぶつかった事で立ち往生している事、乗員には怪我人もいることを話し、この船で市まで曳航するように話した。
ブルノはそれには答えず、写真乾板が割れたらどうすると口にし、甲板長のボウスンにヴァニーを拘束して甲板から、空に放り出せと命令した。
今回の見どころ
・ヴァナベル
今回は全編、ヴァニーことヴァナベルの回と言っていいでしょう。
クールであまり表情を変えない彼女ですが、時折見せる気遣いが彼女の優しさを感じさせます。
またその行動から、実は熱く強い芯をもった人物である事が窺えます。
・龍の婚姻色
ブルノが龍をおびき寄せるため炊いた、龍涎香の香りに魅かれた龍が見せた特殊な紋様はとても美しく、これをカラーで見たいと強く感じました。
まとめ
クールビューティー、ヴァナベルがメインの巻でした。
またブルノのような人は、時代がすすみ、龍の研究が盛んになった後世において評価される。
実際の歴史を鑑みるに、そんな気がします。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。