吉原プラトニック 2 モーニングKC
漫画:オキモト・シュウ
企画・原案:藤川よつ葉
出版社:講談社
生身の女人が苦手な旗本留守居役、大久保家(おおくぼけ)の嫡男貞近(さだちか)。
彼に女性経験を積ませる為、貞近の父は売れっ妓女郎、紫太夫(むらさきだゆう)に筆おろしを依頼する。
しかし、面と向かって話すことさえ出来ない貞近に、百戦錬磨の紫も困り果て彼の得意な料理で距離を近づける事にしたのだが……。
登場人物
京極なつ(きょうごく なつ)
貞近の許嫁
黒髪ポニーテールで男装の少女。
絵巻好きで過去に貞近と接点があったようだが、貞近は覚えていない。
階斬雪(きざはし ざんせつ)
絵描き
黒髪くせ毛に鉢巻無精ひげの青年。
長崎で西洋画を学んだらしく、写実的な絵を描く。
喜多川歌麿が描いた張り見世(通りに面した格子窓の部屋)の壁絵の下絵の上に、女人の絵を描き角屋で下働きをすることとなる。
あらすじ
料理を通じて距離を縮め、僅かではあるが触れ合った貞近と紫。
そんな貞近の元に許嫁である京極家の姫君、なつが訪れる。
そのなつは武家の娘とは思えない格好をしていた。
前髪を下ろし羽織袴を纏ったその姿はまるで若衆のよう。
貞近はなつの恰好を女人が苦手な自分のため、父が仕組んだ策かと疑うが、その父はなつの姿を見て全てを妻、貞近の母に任せ姿をくらませたらしい。
戸惑う貞近をよそになつは貞近の部屋に入り込み、彼の着物を羽織り、背が高いとご機嫌な様子。
傍若無人ななつに貞近が何をしていると腰を引きつつ声をかけると、彼女は妻が夫の衣服や持ち物を検めるのは当然と返す。
「ま、まだ妻ではない」
「数か月後にはそうなります」
押し黙った貞近になつは自分との婚儀は嫌なのかと尋ねる。
それに対し貞近もお家存続ためと建前を口にした。
そんな貞近に歩み寄り、顔を寄せてなつは言う。
「では私たち、絶対に幸福になれます」
「……な、なんで?」
「うふふ。秘密、です」
押されぱなしの貞近の姿に、家臣の老人は絶対に尻に敷かれると涙を流すのだった。
感想
今回は押しが強く天然な許嫁、なつの登場から始まり、絵師の階斬雪と蕎麦、イガイを使った深川飯、なつの再来と本と南瓜、吉原夜桜と斬雪の絵、燻製と吉原となつ等が描かれました。
今回はその中でも新な登場人物である二人。
貞近の許嫁である男装の姫君、京極なつと西洋画の絵師、階斬雪が印象に残りました。
なつは押しが強く箱入りのためか、世間知らずの所のある女の子。
一方、斬雪は人懐っこい性格で自分の欲望に真っすぐな男。
貞近と過去に接点があり、許嫁という関係とは別に想いを寄せている様子のなつ。
斬雪の介在でなつが紫の存在を知った時、彼女がどんな行動に出るのか。
食を通じて意気投合している紫と貞近。
なつの存在で二人の関係がどうなるのか、次も楽しみです。
まとめ
吉原での逢瀬は一夜の夢。
花魁である紫もそれは分かっているのでしょうが、貞近とは食道楽という同好の士として友人のような関係になっているように思いました。
遊女と旗本の息子。
結ばれる事のない二人が今後どうなっていくのか。
先が気になります。
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