吉原プラトニック 1 モーニングKC
漫画:オキモト・シュウ
企画・原案:藤川よつ葉
出版社:講談社
縁談が決まった大身旗本留守居役、大久保家(おおくぼけ)の嫡男、貞近(さだちか)。
武家にとってお家存続のために、子孫繁栄は至上命題。
しかし、貞近は浮世絵の美人画の蒐集に血道を燃やす現代風に言えば、二次元好きのオタクだった。
そんな貞近に不安を覚えた現当主である貞近の父は、見世に相談し彼が憧れる売れっ妓女郎、紫太夫に手ほどきを頼むのだが……。
登場人物
紫太夫(むらさきだゆう)
吉原大見世「角屋(すみや)」の売れっ妓女郎
意気地と張りが売りの美女。
美味しいものに目がない。
大久保貞近(おおくぼ さだちか)
大身旗本留守居役、大久保家嫡男
浮世絵の美人画が好きなオタク侍。
生身の女性は苦手で面と向かって話す事も出来ない。
奉公人の佐吉から料理を学んでおり、料理の話であれば紫太夫ともしゃべる事が出来た。
おみね
紫付きの禿
紫の下でお使いなどをしている少女。
佐吉(さきち)
大久保家の奉公人
丸顔の壮年男性。
大久保家で働く前は大名に仕えていたらしく参勤交代にも同行し、そのおかげで各地の味や食材の調理について明るい。
勝野(かつの)
角屋の三番人気の女郎
釣り目の女。
紫を追い落とそうと貞近と紫の関係を探るが……。
あらすじ
吉原の大見世「角屋」の女郎、紫太夫。
彼女は楼主に泣き付かれ大久保家の嫡男、貞近の筆おろしを江戸随一の料理茶屋「八百善」の料理で引き受ける。
彼女は吉原でも評判の売れっ妓女郎。
その姿は浮世絵としても描かれている。
角屋に筆おろしを依頼した貞近の父は、息子が執心する浮世絵のモデルであれば、奥手な貞近も興味を示すのではと考えたのだ。
そんな訳で登楼した貞近だったが、三次元(生身)の女を前にして貝のように押し黙ってしまっていた。
困り果てた紫が好きだという浮世絵の話を振っても、貞近はまともに話す事もままならない。
それならと絵を描かせてみるが、浮世絵を蒐集してはいても貞近に絵心はなかった。
何かコミュニケーションを取る方法はと紫が頭をひねっていると、依頼を受ける条件にした八百善の料理が届く。
腹が減っては戦は出来ぬ。紫はまずは腹ごしらえをして仕切り直そうと貞近に料理を勧めた。
紫の勧めでおもむろに箸を取り、貞近は料理を口に運ぶ。
「……まずい。たいしたことござらん」
そう言ってパチンと箸を置いた貞近に紫は声を荒げた。
やっと口をきいたかと思えば、自分が惚れ込んだ味を貶される。
我慢のならない紫が詰め寄ると、まずいものはまずいと視線を泳がせつつもさらに言う。
「へ――そうかいそうかい。だったらお武家様が食べておられる美味いものってヤツを見せてもらおうじゃありんせんか!!」
部屋には紫が食事の際に使う調味料や鍋などが置かれている。
それを使い自分を驚かせる料理を作って見せろ。
武家のお坊ちゃんに料理など出来る訳がない。
貞近の鼻を明かすつもりだった紫だったが、彼はしばし思案したのち「うむ」と頷き料理に取り掛かったのだった。
感想
浮世絵の美人画に執心し、料理にも精通しているオタク侍貞近。
彼に童貞捨てさせるため、筆おろしを頼まれた遊女、紫。
男女が肌を合わせる事が日常の吉原で、紫は奥手で初心な貞近と料理でコミュニケーションを図っていきます。
今回登場したのは第一話の豆腐料理の他、うなぎ、牡蠣、塩鯖、鴨と卵、蛸、最中、猪鍋など。
料理は和風な物もあれば、貞近がアレンジして現代風なイメージのあるアヒージョやオムレツ、パフェのような物も登場しました。
そんな訳で、料理を通して二人は少しづつ距離を縮めているのですが、女性に耐性のない貞近が紫と臥所を共にする日がくるのか。
次巻も楽しみです。
まとめ
この巻のラスト、貞近の許嫁である男装の姫、京極なつが登場しました。
彼女と貞近、そして紫がどう絡むのか、先が楽しみです。
この作品はコミックDAYSにて一部無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。