ブルターニュ花嫁異聞 1 リュウコミックス
著:武原旬志
出版社:徳間書店
ブルターニュにて城代だった騎士が起こした反乱。
その鎮圧に参加した老騎士ラウル・ド・ディナンは戦いの最中、落馬し背骨を負傷。
その怪我により騎乗が出来なくなったラウルは引退を決意。
ラウルの紋章官を務めていたトマは、彼の今後を考えた主、ラウルから友人である行方不明の騎士の捜索を頼まれ……。
登場人物
トマ
老騎士ラウル・ド・ディナン付きの紋章官
栗色の髪の青年。
紋章官は紋章などによる個人の特定の他、主人の活躍の記録も行う。
ラウル・ド・ディナン
ブルターニュ公に仕える城代騎士
白髭の老騎士。
戦場で落馬し背骨を負傷する。
その怪我が原因で騎乗が難しくなり、引退を決意。
トマに友人である騎士アンドレ・ル・ブローの探索を頼む。
ピエール
ブルターニュ公
正確にはブルターニュ公の地位を持つのは、妻であるアリクス・ド・トゥアールであり、ピエールは立場的には摂政。
フランス王の後押しでドルー家から婿入りし、若いアリクスに代わり公爵を名乗っている。
ブルトン貴族の中にはそれが気に入らない者も少なからずいる。
アンドレ・ル・ブロー
金髪碧眼の凛々しい顔立ちの騎士
男装しているが実は女性。
賊に襲われ死亡した父の仇を討つため、父親の名を名乗り放浪を続けていた。
剣術と格闘術に優れる。
ギルベール
旅の修道士
黒髪の女性的な顔立ちと振る舞いの青年。
アンドレの父親の墓づくりを行った。
あらすじ
ラウルが仕えるブルターニュ公、ピエール。
彼は公正で穏やかな人物で、ラウルとしても仕え盛り立てることに不満はなかった。
だがフランス王と繋がりのあるピエールがブルターニュを治めることに、ブルトン貴族の中には不服とする者も少なからずいた。
そこで貴族たちの不満を宥めるため、ラウルは古い知人である騎士、アンドレ・ル・ブローの事を思い出す。
アンドレは古いブルトン(ブルターニュ)の血統の持ち主だ。
そのアンドレには15になる娘がいた。
その娘とピエールの息子を婚姻させれば、フランスの支配を嫌う貴族たちの溜飲も少しは下がるだろう。
ラウルの紋章官トマは主の頼みを受け、二年前から行方知れずだというアンドレとその娘の探索を開始するのだが……。
感想
13世紀フランス、ブルターニュ地方。
ブルターニュ公を名乗るピエールは公としての資質ではなく、その血統から貴族たちの反発を招いていました。
その反発を払拭するため、ピエールに仕える老騎士ラウルは婚姻により反発を収めようと考えます。
紋章官トマはラウルの命を受け、ラウルの知人である騎士アンドレとその娘を探すのですが、アンドレは賊に襲われ既に亡く、娘は男装して父の名を名乗り仇を探していて……。
過去に面識のあった様子のトマとアンドレ(娘)。
その事に気付かないツンツンで武闘派なアンドレと、彼女が引き起こす騒動の終息に奔走するトマ。
賊に殺害されたというアンドレ(父)とその背後に見え隠れする陰謀。
トマたちがその陰謀を解き明かせるのか。
復讐が終わった時、アンドレ(娘)はピエールの息子(赤ん坊)の花嫁となるのか。
今後の展開が楽しみです
まとめ
侵略者が統治を円滑にするため、その地の有力者の血を取り込む。
それは西洋だけでなく、過去の日本でも珍しくなかったことのように思います。
侵略者に従う事に抵抗はあっても、その子孫にかつての王の血が流れていれば少しは反発も和らぐでしょう。
ただ、今作の主人公トマとアンドレは幼いころに面識があり、お互い男女として気になっていた様子。
今後、二人の関係がどうなっていくのか、そちらも気になります。
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