人間のいない国 4 アクションコミックス
著:岩飛猫
出版社:双葉社
自由意志を持つゴーレム、スフィと出会い自分が肉体の器と呼ばれる存在だと知った人間の少女シイ。
彼女は安全を確認し自分の下を去ったバブルを追って、修復されたコミュニケーションゴーレム、ティーファと共に溶解炉へと向かう。
しかしそこにバブルの姿はなかった。
バブルはマスターの命令に従い、自分を処理してしまったのだ。
そう考えたシイは気力を無くし、ティーファに導かれ王宮へと向かう。
そこで出会った王宮ゴーレムの統括者、ビッグから人間は脳雲と呼ばれる装置の中にいることを知らされ……。
登場人物
殿下
人間のいない国「ゲネシス」の現国王
暗い目をした金髪の少年。
狂暴な性格で肉体の器と呼ばれる事を酷く嫌う。
王宮ゴーレム「バシルタ」を100体合体させた異形のゴーレムを従える。
モップ
犬をモチーフにした二足歩行ゴーレム
ゲネシス王家の末裔、シイラス王女に仕えた執事ゴーレム。
バルブの同僚。
シイラス
シイのオリジナルとなった人間の少女
国民の意識を脳雲と呼ばれる装置に収納する事に反対し、王宮によって殺害される。
あらすじ
脳雲と呼ばれる球体の集合体。
王の計画「神話計画」により275万995人の意識はその小さな装置の中で生き、永遠を手に入れた。
殿下と呼ばれた少年はその脳雲を人間をやめた、カルト集団の成れの果てと称し、破壊を口にする。
そんな少年にシイは「王宮が無理やり意識を抜いたんじゃ…」と思わず声をかけた。
途端に少年はシイをねめつけ、自分の言葉を遮ったシイに不快感を見せた。
その後、シイを国民達の意識を移植する為の肉体の器と呼び、暗い笑みを浮かべ言う。
「この国のため死ねってことさ」
少年の言葉にショックを受けたシイは、少年も自分と同じ肉体の器ではと問いかける。
「俺様を肉体の器って呼ぶな」
「え?」
「女を潰せ」
少年はシイを酷く冷たい目で見ながら、引き連れた異形のゴーレムに静かに告げた。
感想
今回は殿下と呼ばれる少年とシイの出会いから始まり、ビッグが語る「神話計画」、バルブとの再会、シイのオリジナルとバブルのルーツ、オリジナルとクローン、スフィの思い出と殿下、バブルの記憶とシイラス姫の最後などが描かれました。
この巻では王国に人が存在しない理由が判明しました。
「神話計画」と呼ばれる国民の幸福を重視した計画により、人々は自分の理想が実現できる仮想世界で永遠に生きる事となったようです。
人の欲望に果ては無く、豊かになり飢えの無い快適な暮らしを手に入れても、更に豊かな暮らしを求める。
物質世界でそれが得られないのなら、仮想世界でそれを求める。
リアルでもVRが登場し架空の街が作られています。
遠くない未来、この作品のようにそこで暮らし続ける事を是とする人々も現れるのでは。
エピソードを読んでいて、そんな事を思いました。
まとめ
次巻はいよいよ最終巻。
脳雲に収納された王国の民の精神、それの破壊を目論む殿下、愛した人との再会を望み彼に協力するスフィ、何やら画策している様子のビッグ。
シイのあずかり知らないところで状況は進み……。
物語がどんな結末を迎えるのか、読むのが楽しみです。
この作品はpixivコミックにて一部無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。