傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン 7 バンチコミックス
著:磯見仁月
出版社:新潮社
フランス国王ルイ十五世の崩御により、王妃となったアントワネット。
マリーは王妃との謁見のため、ドレスを仕立てレオナールに髪を結いあげてもらい、ついに王妃マリー・アントワネットと顔を合わせた。
登場人物紹介
ジャン・ルイ・ファージョン
王妃付き香水商
くせ毛の青年。
百年以上続く薬剤師兼香水商の家系。
マリー、レオナールと共に王妃となったアントワネットを香りによって彩る。
香水だけでなく、入浴剤や化粧品も提供している。
ロザン公爵
軍人であると同時に外交官。
帰国前はロシアに滞在しており、女帝エカチェリーナ二世からの信頼も厚い。
帰国後は舞踏会でアントワネットのお気に入りとなる。
ゲメネ公妃
アントワネットの側仕えの女官の一人
ブルネットで猫目の女性。
同じく側仕えであるランバル公妃の従姉妹。
大貴族ロアン家の一人。
王妃のため、派閥づくりに注力する。
マクシミリアン・ロベスピエール
後のフランス革命の主導者
パリ屈指の名門校、ルイ・ル・グラン学院の生徒。
あらすじ
晴れて王妃付きのモード商となったマリー。
彼女は髪結いのレオナール、香水商のファージョンと共にアントワネットをプロデュースし、貴族たちに王妃のファッションを追従させ流行を巻き起こした。
それにより、マリーの店「オ・グラン・モゴル」の顧客はさらに増えた。
だがその事で恩師であるパジェルの店「トレ・ガラン」は破産。
パジェルも間を置かず亡くなってしまう。
マリーはその事にショックを受けるが、彼女はトレ・ガランの経営が傾いていることには気づいていた。
マリーは生前、そんなパジェルを心配し店を何度も訪れていた。
しかしパジェルはいつも完璧で、マリーに弱い部分を見せることはなかった。
自分が殺したのだ。
そう言ったマリーに、前王妃のモード商でパジェルの友人だったフィリドールは言う。
「いずれ朽ちるなら、自分が蒔いた種の土になりたい」
パジェルはマリーを土になるに値するだけの種だと感じ、自らが滅ぶことも踏まえた上でマリーの背中を押したのだ。
そんなパジェルの話を聞いたマリーは、さらに上を目指し歩みを進める事となる。
感想
今回は王妃付きモード商となり、アントワネットを流行の発信基地とすることで貴族のファッションを動かし始めたマリーから始まり、パジェルの死、王妃付き香水商、ファージョン登場、儀礼(エチケット)を廃止するアントワネット、食糧危機と革命の兆しなどが描かれました。
アントワネットがマリー達の提案で次々と豪華で優雅なドレスを纏い、舞踏会で流行を生み出している影で、民衆は凶作による飢餓で餓死者も出ているようでした。
段々と華美になる王侯貴族の服装。
その暮らしを支えている民衆の苦しみ。
作品はマリーを中心に描かれているので、飢えにあえぐ人々の様子は直接は登場していません。
ただ、後のフランス革命の主導者が登場するなど、終わりは確実に近づいているように感じられました。
まとめ
作中、狩りに出たルイ16世は餓死した民衆の棺桶を目にしたりします。
ですが、原料に小麦を大量に使う髪粉で髪を結いあげ、豪奢な髪形を貴族の間で流行らせるアントワネットを諫める事は出来ていませんでした。
問題意識は持っていても、王宮に飢えはなく……。
やっぱり実際に自分が体験しないと、危機感を持つことは難しいのかなぁとエピソードを読んでいて感じました。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。