映像研には手を出すな 7 ビッグコミックス
著:大童澄瞳
出版社:小学館
声を自在に操り義賊を気取り、小さな悪事を重ねていた中等部の少女、桜田セキ(さくらだ せき)。
自分の力を試すため、映像研の声優オーディションに参加した彼女は、採用され映像研の活動に半ば強制で組み込まれることになる。
生徒会に睨まれながらも活動を続ける映像研に、桜田はコスパが悪いとぼやきつつも、やりたい事に全力で取り組む映像研の姿に自身のやりたい事、作家という夢を思い出すのだった。
登場人物
クードナ
マチェットの主人公
ポニテガスマスクな少女。
三回崩壊した事で、それまで進歩していた科学文明が失われた世界で生きる少女。
小説家志望の後輩、桜田(さくらだ)の作品に対するダメ出しでショックを受けた浅草(あさくさ)が自身の作品「そのマチェットを強く握れ!」を再考した事で名前や舞台背景が追加された。
カタナ
再考マチェットの登場人物
ハンチングで二刀流の剣士。
再考された「そのマチェットを強く握れ!」の世界を主人公クードナに伝えるもう一人の主人公。
世界観説明のためのセリフが多くなり、桜田にダメ出しされた。
新渡戸(にとべ)
孝行糖(こうこうとう)高校アニメ部部長
浅草の後輩、桜田の父に作品の助言を求めた。
彼らの作品はリトル・ニモのオマージュで桜田経由で作品を見た水崎(みずさき)に衝撃を与えた。
押田(おしだ)
アニメの大会の審査委員の一人
グラサン顎鬚のおじさん。
浅草たちの作品を批評する。
彼をはじめ審査委員たちは押並べて批判的な意見を述べた。
あらすじ
今後を考えた金森によって生徒会に突き出された桜田。
罪の清算(反省文一万枚)を終えた彼女は待ち受けていた映像研に確保され、問答無用で活動に参加させられる事になる。
生徒会執行部に対抗するための部室の強化に付き合わされ、その後、風呂ラーメンを堪能した桜田。
一息ついた彼女は、作品について詰める浅草たちの姿に、生徒会に睨まれながらも作り続ける事はコスパが悪いと口にする。
だが、浅草はそんな事は関係ないと作り続ける事を宣言した。
浅草たちと別れ、家に帰りベッドに横になる。
自分には何もない、そう思っていた桜田の目から涙が流れた。
彼女は自分にもやりたい事があるのだと、その時気づいた。
後日、風呂ラーメンの時の事で気まずい桜田は、こっそりと映像研の部室に入り込み、アーカイブ「たぬきのエルドラド」を視聴。
観る者の事を考えられていない構成やセリフに、思わずダメだしをしてしまうのだった。
感想
今回は作業を優先した水崎に代わり、金森がモデルの代役をするエピソードから始まり、作家志望の桜田による作品へのダメだし、作品の構造と問題点、孝行糖高校アニメ部の作品、生徒会と映像研、アニメの大会と審査員たち等が描かれました。
その中でも今回は桜田によるダメ出しが印象に残りました。
この作品は制作の過程で浅草達による設定の説明がなされているため、今まで彼女たちが作ったものに関して、ついていけないと感じることはありませんでした。
しかし、作中、作品を観る人達にとっては登場人物の語りによる解説が冗長であったり、逆に説明がなかったりと作品のリズムが視聴者がついていけない構成になっていたようでした。
登場人物は知識や経験から状況を理解できても、観る人には意味が分からない。
そういった場面が続けば作品に対する興味も自然と薄れ、しらけてしまうのではないでしょうか。
桜田の加入はそういった物語、エンターテイメントとしてのクオリティの向上に寄与しそうだなとエピソードを読んでいて思いました。
まとめ
今回のラスト、しがらみの多い大人としてコンテストの審査員たちが登場しました。
浅草たちは作品を正当に評価しない彼らにどう挑むのか。
次回も読むのが楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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