空挺ドラゴンズ 13 アフタヌーンKC
著:桑原太矩
出版社:講談社
霧の龍に襲われ内戦状態だったヴァナベルの故郷、アレーナ。
そのアレーナの窮状を見かねクイン・ザザを離脱したヴァナベルも、内戦の終結により復帰。
あとはクイン・ザザの修理が終われば、震天王テュポーンと戦う事も出来る。
ただ、その為には、船のバランスを保つ震臓バラストがもう一基必要で……。
登場人物
船長
初代クイン・ザザ号の船長
黒髪無精ひげの男。
若き日のクロッコを海に投げ落とし、自分は船を守るため一人残った。
ブルノの父
東ノチアス社の社長
くせ毛でカイゼル髭のおじさん。
世界航空開発会議(航空業界のルールを決める会議)にて、息子のブルノに龍についての調査方針を発表させ、後発勢力をけん制した。
あらすじ
設計技師、ネネッタが考案した新たなクイン・ザザ。
それは嵐の空でも安定して航行出来る、高性能な機体だった。
しかしそのためにはもう一基、震臓バラストが必要だった。
龍の震臓の化石から作られる震臓バラスト。
現在は需要が集中し手に入れる事が非常に難しい代物だ。
現状、無一文のクイン・ザザでは入手は不可能に近い。
だが船長代理のクロッコは、震臓バラストに当てがあるという。
クロッコが示した当て。
それは十五年前、テュポーンに襲われ墜落した初代クイン・ザザ号だった。
手に入れられる可能性は低いが、自分たちがバラストを買えるほどの金を手に入れられる可能性も同じく低い。
結局乗るしかない一行は、震臓バラストを求め目的地、赤道に近い常夏の島々、ミロシャワ諸島へと向かうのだった。
感想
今回は常夏の島、ミロシャワ諸島での初代クイン・ザザ捜索から始まり、幽霊船となり空を彷徨うクイン・ザザ、無人の船、船を着込んだ龍、バラスト入手、新たなクイン・ザザ号等が描かれました。
今回はその中でも船長代理のクロッコの過去が印象に残りました。
クロッコはかつて、先代クイン・ザザの船長により、海に突き落とされる形で命を取り留めました。
それから十五年、日々の忙しさに追われ初代クイン・ザザの捜索を行うことは出来ませんでした。
ただ、エピソードを読んでいると忙しさを言い訳に、わざと探す事をしなかったのではとも感じました。
クイン・ザザを見つける事は、先代船長の死を知る事にもつながります。
先代がまだどこかの空を飛んでいる。
クロッコはそう思っていたかったのでは、そんな事を思いました。
まとめ
この巻の終盤、新たなクイン・ザザ号の登場と同時に、屠龍船プラナ・グラーヴァ号の船長、クルガとのテュポーン討伐競争の始まりが描かれました。
クイン・ザザの一行は航空開拓のための龍乱獲という事態を防ぐため、生息空域を絞り込んでいるというクルガに先んじて、テュポーンを狩らねばならなくなりました。
因縁の相手、テュポーンをミカたちは倒せるのか。
次巻も楽しみです。
この作品はpixivコミックでも一部無料で読む事が可能です。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。