うちのちいさな女中さん 1 ゼノンコミックス
著:長田佳奈
出版社:徳間書店
翻訳家の蓮見令子(はすみ れいこ)は長年勤めて貰った女中のトクが息子夫婦と隣町へ引っ越した事で辞める事になってしまい、親戚を頼り新たな女中を紹介してもらう。
親戚からの手紙では佐竹フヨ(さたけ ふよ)という名の二十二歳の女性だとあったが、その日尋ねて来たのは野中ハナ(のなか はな)と名乗る十四歳の少女だった。
登場人物
蓮見令子(はすみ れいこ)
翻訳家
洋風ショートヘアーの若い女性。
西洋の様式を取り込んだ家に一人暮らしている。
若すぎるハナに戸惑いつつも、彼女を女中として迎え入れる。
野中ハナ(のなか はな)
令子の家にやって来た女中
眼鏡でお下げの瞳の大きな少女。
令子の親戚のおじさんの家で女中として働いていた。
その為、炊事洗濯掃除等、家事は完璧にこなせる。
ただ、西洋の文化や瓦斯(ガス)等の新しい物には疎い。
感情表現が苦手なのか、殆ど表情を変えない。
有田毅(ありた たけし)
ハナが以前働いていた令子の親戚
白髪眼鏡で髯の温厚そうな老人。
山梨の大きなお屋敷で暮らしている。
佐竹フヨ(さたけ ふよ)
有田の屋敷で住み込みで働く女中
クリっとした目で柔らかい雰囲気の女性。
本来は彼女が令子の家へ行くはずであったが、ハナが令子の下へ行きたがった為、有田の屋敷に残る事となった。
タカ
有田の屋敷で住み込みで働く女中
切れ長の目で泣きボクロの女性。
愛想のないハナが東京に行く事に不安を感じていた。
みっちゃん
令子が贔屓にしている喫茶店の主人
垂れ目で恐らく京都弁の女性。
令子の家庭の事もよく知る人物。
あらすじ
昭和9年、女中という職業が女性の仕事として珍しく無かった時代。
洋風建築を盛り込んだ家で一人暮らす翻訳家の蓮見令子は、長年通いで働いてくれた女中のトクが辞めた事で、新たな女中を親戚の有田のおじさんに手配してもらう。
有田からの手紙では佐竹フヨという二十二歳の女性であったが、やって来たのは野中ハナという十四歳の少女であった。
話を聞けば彼女に変わったと有田が手紙で知らせているらしい。
どうやら令子が彼からの手紙を見落としていたようだ。
翻訳の締め切りに追われていた令子は取り敢えずハナを洋間に通し、仕事を優先させる事にしたのだった。
感想
昭和初期、女性翻訳家と十四歳の女中さんの日々を描いた作品です。
ハナは三年程、山梨の有田の屋敷で働いており、仕事については殆ど完璧ですが、登場人物紹介に書いた様に洋風の文化(乳バンド)や新しいガス等について疎く、煮炊き等は炭や薪などに慣れ親しんでいる様でした。
そんなハナがガスの便利さに、こんなに楽でいいのだろうかと戸惑いつつも「好い」とほわーとなっている所が凄く可愛かったです。
殆ど感情を表に出さないハナ。
そんな彼女の微妙に変わる表情がとても可愛い、そんな作品です。
まとめ
作品は令子とハナの日々を描いたほのぼのとしたモノとなっていますが、昭和初期といえば日本は戦争へと向かっていった時代でもあります。
この作品で何処までそれが描かれるのかは分かりませんが、二人にはのんびり過ごして欲しいです。
この作品はゼノン編集部にて第一話が無料でお読みいただけます。
作者の長田佳奈さんのツイッターはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。