ブルージャイアントエクスプローラー 6 ビッグコミックススペシャル
作:石塚真一
出版社:小学館
後に世界的なサックスプレイヤーとして名を馳せる、宮本大の軌跡を描いた作品。
そのアメリカ編。
エージェントを買って出てくれたジェイソンと別れ、大は一人西へと旅を続けニューメキシコ州、アルバカーキへたどり着いた。
旅の資金が底をついた大はジャズバーで皿洗いをしながら、病気で入院した老テナープレイヤーに代わり、ハリー、キャロル、アクセル、ニーラの四人にサックスのレッスンを行う事となる。
そしてそのテナープレイヤー、スティーブの退院に合わせ、大は生徒たちの発表会をジャズバーのステージで行うことにしたのだが……。
登場人物
ゾッド
黒人の巨漢ドラマー
NYのジャズエリート大学ニュースクール出身のスキンヘッドに髭の大男。
多彩なルーディメンツ(ドラムのフレーズ集)と抜群のリズム感、そしてスピード、パワー、スタミナを併せ持つドラマー。
現在はポーカーで稼ぐ方がメインになっているようだ。
あらすじ
スティーブの退院祝いを兼ねたサックス教室の発表会。
一番手はソプラノサックスの少年、ハリー。
アントニオの伴奏に合わせ吹き始めたハリーだったが、スティーブ他、観客(ハリー達の家族)の存在とミスにより萎縮しまう。
そんなハリーを大とアントニオはファロー。
大の励ましでハリーは、練習を続けていた強い音で演奏をやり切った。
二人目は引きこもり体質のおじさん、アクセル。
彼の選曲はジョー・ヘンダーソンのインナー・アージ。
スティーブは複雑な曲を選んだと不安を覚えるが、アクセルはテーマをすべてアントニオに任せた。
難しいところを全部飛ばしたアクセルに、思わずスティーブは笑いを漏らした。
三人目はジャズに数学的美しさを求める少女、ニーラ。
彼女が練習したのはとにかく早い指運び。
緊張で肩に力が入り、指が追い付かないニーラに大はリラックスと肩の力を抜くようにアドバイスを送る。
緊張のほぐれたニーナの指は練習通り動き、彼女も無事吹き終えた。
最後はチャーリー・パーカーを愛する老婦人キャロル。
彼女がサックスに求めたのは、亡き夫と共に聞いていた優しいジャズ。
想いを吹く事をテーマにした彼女の選曲はチャーリー・パーカーのStar Eyes(スター・アイズ)。
アントニオの伴奏を聞きながら、キャロルは自身の中で想いを高めていく。
やがて演奏を始めたキャロルの中には、亡き夫の日々が浮かんでいた。
彼女が作り出した音は観客にも伝わり、演奏を聞いた者達の涙を誘った。
そして、最後は四人全員でステージに上がり、それぞれが楽しさを感じながらサックスを吹いた。
観客たちから声援を受けながら無事、終了。
場を閉めようとする大に、アクセルが言う。
「せっかくの発表会だ。先生も一発吹いてくれよ!!」
アクセルの言葉にハリーとニーラも聞いたい!!と笑みを浮かべる。
そんな彼らの言葉に応え、大はいつも通り、全てをぶつけるようなスタイルでその日もサックスを吹いたのだった。
感想
今回はアルバカーキでの生徒たちの発表会から始まり、アントニオと共にテキサス州ダラスへ、アントニオがジャズバーの店長に切れたため、ダラスを離れ大都市ヒューストンへ、ドラマー、ゾッドとの出会い、ゾッドと組むためポーカーで勝負などが描かれました。
ゾッドはNYでバンドを組んでいたようですが、地元へ戻り現在はたまにドラムを叩きながら基本、ポーカーで収入を得ているようです。
作中のゾッドのセリフから、ジャズで食べていくことの難しさが伺えます。
成功者は一握り、ゾッドほどの腕とセンスがあってもプロとしてはやっていけなかったのでしょう。
賭け事の素人の大は果たしてゾッドに勝つことが出来るのか。
次回も楽しみです。
まとめ
この巻ではドラマーのゾッドが登場しました。
仮に彼がメンバーに加わるとして、巨漢の彼が大のホンダで移動できるのか。
男三人、ギュウギュウ詰めでホンダに乗る姿を少し想像してしまいました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。