漫画完結作品

チ。 ―地球の運動について― 第八集 登場人物・あらすじ・感想

投稿日:

地球
チ。 ―地球の運動について― 第八集 ビッグコミックス

作・画:魚豊
出版社:小学館

活版印刷によるオグジーの手記の出版。
腐敗により陰りの見えるC教正統派に対抗するため、シュミット達、異端解放戦線がとった計画はあと僅かで成功する予定だった。

しかし、スパイとして異端解放戦線に入り込んでいたフライによって、彼らの居場所は異端審問官のノヴァク達の知るところとなった。
シュミットは隊員をおとりに放浪の民の娘、ドゥラカを逃がし計画の続行を決断する。

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登場人物

アルベルト・ブルゼフスキ
パン屋で働く青年、後に大学の教師として教鞭を振るう。
彼の教え子の中にはコペルニクスがいた。
麦の買い入れ料に応じて適切な値段と目方が要求された当時、情報を集め相場を予測し概算を出し、パン屋の営業に貢献した。
親方はその仕事の報酬として彼を大学へ行かせようとするが……。

親方
パン屋の店主
利発なアルベルトに学ぶことを勧める。

あらすじ

隊長のシュミットと共に異端審問官の馬を奪い、逃走したドゥラカ。
しかし、いち早くそれに気づいたノヴァクに追撃を受ける。

このままでは逃げ切れない。

そう判断したシュミットはすべてをドゥラカに託し、追撃者の足止めに回った。

短剣の投擲で一人倒したシュミットは、そのまま馬を走らせ、体当たりで二人目を馬から引きずり下ろした。
それに巻き込まれたノヴァクも馬から落ちて地面を転がる。

シュミットは引きずり下ろした審問官に剣を抜いて対峙。
すれ違いざまに審問官の首を切り裂いた。
二人倒し荒い息を吐くシュミットの脇腹を、審問官の一人が背後から突く。

しかしシュミットは怯む事無く、審問官の首に剣を突き立てた。
立て続けに審問官三人を殺害し、脇腹に突き立った剣を抜こうとしたシュミットの首にノヴァクは背後から剣を差し入れた。

「ふっ、自分の血で溺死とは。地動説信者にふさわしいみじめな運命だ」
「グ…ググ、し…しがじ、私が…選んだ…運命だ」

シュミットはその言葉を最後にこと切れた。
そんなシュミットの最後を見届けたノヴァクも落馬で負った額の傷により、その場で昏倒した。

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感想

地動説とそれに関わった人々、そして彼らを異端とし弾圧処刑してきた審問官の物語。その完結巻。

西洋世界における神の存在。
その神の言葉である聖書を基準にした社会。
自分たちの生きている世界、地球が世界の中心で星々は地球を中心に回っている。
そんな天動説が常識だった時代、真実を求め異端とされる事を恐れず研究と戦いを続けた人々。

登場人物たちは、それぞれが世界の美しさを信じ、合理的な美しい宇宙の形を求めていたように思います。
水が高い場所から低い場所へと流れるように、自然はおのずとなるべく形になる。

知恵を持った人の社会では緩やかですが、それでもやがて正しい場所へとたどり着くのではないか。

作品を読み終えてそんな事を思いました。

まとめ

一般的に正しいとされている事。
それに矛盾が生じたとき、説を捻じ曲げるのではなく、崩れた前提を受け入れ思考を先に進められる者。
人の中には少なからずそういう者がいて、そういった人々の積み重ねが人間を進歩させてきた。

そんな事を考えさせられる作品でした。

こちらの作品はビッグコミックBROS.NETにて第1、2話が無料で閲覧いただけます。
作者の魚豊さんのTwitterはこちら

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※イメージはPixabayのPIRO4Dによる画像です。
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