こびとのシイタと狩りぐらしの森 1 モーニングKC
著:樺ユキ
出版社:講談社
高台の倒木をくり抜いた集落で暮らす小人の少年、シイタ。
その日も彼は友人のナラに付き合い、集落の外で鼠を鉄砲ウリの種で驚かせ、鼠が運んでいたどんぐりを横取りしていた。
その事に罪悪感を抱くシイタに、どうせ巣にいっぱい隠してあるとナラは笑う。
そんなナラは遠く大木の根本から立ち上る煙を見つけ……。
登場人物
シイタ
金髪碧眼の小人の少年
父親のヒバに高台の集落に預けられた。
慎重な性格。
ナラ
栗色の髪の小人の少年
シイタの友人。
危険な動物と戦ったヒバに憧れを抱いている。
安全な集落に閉じこもり暮らすことを嫌い、広い世界に憧れている。
ヒバ
シイタの父
五年前、集落にシイタを預け旅だった。
イズナ
黒髪にグルグルほっぺの青年
外の世界の事に精通している。
狂暴な動物を挑発し、集落を壊滅させたヒバを探している。
クーゲル・バーン
アリに襲われる集落「バーン」の族長の娘
赤髪ロングにリボンの女の子。
アリの生態に詳しいイズナに集落を救ってほしいと助力を求める。
シュトゥルーデル
バーンの族長
クーゲルの母親。
里を復興させるため、自分は集落に残りアリの巣が変化するまで耐えると覚悟を決める。
あらすじ
煙に気を取られていたナラとシイタは、背後に鼠が迫っている事に気付かなかった。
慌てて逃げ出し、用意しておいた落石トラップで鼠を怯ませ、何とか高台の集落へと逃げ込んだ。
この世界にはたくさんの脅威があり、人はどんどん数を減らしている。
そんな世界の中で、シイタ達の住む集落は違っていた。
天敵の少ない高台の倒木を改造した頑丈な住居。
周囲には食物や道具となる植物が存在し、裏手には雨水を確保できる巨大なタンクも設置されている。
ここにいれば安全に衣食住を確保できる。
だが、外界に憧れるナラは集落から出たいと考えていた。
その日の夕暮れ、ナラに手招きされたシイタはその事を告げられる。
どうやら今朝見た煙がナラの心を焚き付けたようだ。
「明日、朝一集合な!」
鼠からせしめたクヌギの実を火であぶり、かじりながらナラは言う。
慎重なシイタは危険すぎると反対するが、もしかしたらお前の父さんかもしれないだろと食い下がる。
シイタは五年間音信不通だと可能性を否定するが、シイタの父、ヒバに憧れを持つナラは外界での冒険に心を躍らせていた。
しかし、テンションを上げるナラにシイタは危ないから嫌だと首を振った。
彼は父親に会う事よりも、大切な友人であるナラを失い一人になる事に怯えていた。
「一人になるよりずっといい!」
珍しく声を荒げたシイタに、ナラは驚き、確かにここにいれば安全だもんなと話を打ち切った。
その翌日、集落からナラの姿は消えていた。
感想
野鼠よりも小さな小人の少年シイタが、集落を出て行方不明になった親友ナラを探し、危険のあふれる外界を旅する冒険物語。
小人たちは小さい事を除けば人と変わらず、様々な工夫を重ね危険な森で生活しています。
爪も牙も持たない小人にとって、野鼠でさえ巨大で危険な生き物。
そんな危険な森をシイタはナラを探し旅を始めます。
その旅を助けるのは、シイタの父の行動で集落を失った青年、イズナ。
シイタの父、ヒバを探し外界を旅しているイズナは、獣の生態に詳しくその習性を利用し危険な生物を撃退していきます。
魔法など超常的な力は登場せず、生物への対処は槍やトラップなど現実的な方法がメイン。
シイタはナラを見つけることが出来るのか。
シイタの父、ヒバが彼を集落に預けたわけとは。
イズナの集落が壊滅した原因を作った、動物への挑発はなぜなされたのか。
色々、気になります。
まとめ
作中には人が使うマッチ(シイタが持つと松明サイズ)や巨大な靴跡なども登場し、人間の存在が伺えます。
小人なシイタ達はどういった存在なのか、そちらも気になります。
この作品はコミックDAYSにて一部無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。