八百夜 4 ウィングス・コミックス
著:那洲雪絵
出版社:新書館
周囲に女性のいない環境で育ったトオワの王アケト。
そのアケトが女の子である事を知った防人のタザは、山郷マキノの有力者の娘リカをアケトのそばに置くことを提案。
アケトのそばにリカとその妹、バイカが加わり彼女の日々は賑やかさを増していく……。
登場人物
サイ
山人(やまびと)の里で暮らす青年
浅黒い肌で灰髪の男。
医学の知識を持ち、その知識で山人に受け入れられた。
ヤオと同じく不老不死で失われた知恵を持っている。
オウカ
クロイズの乳母、大叔母でもある
クロイズを諫め、王としての役目を教える。
イワテ・アオイ
クロイズの嫁候補
城で働くイワテ家の女、ウチナの娘。
黒髪の少女。
アズマ
先王クロイズの父、先々代のトオワ王
病に苦しみ、最後はクロイズの手によって殺された。
イワテ・イウリ
女を殺す先王クロイズから逃れるため作られた女人里の長
掘りの深いキリっとした顔立ちの年配女性。
トオワの指導者モリヤの妻。
クロイズが死んだ後もトオワに戻らず女人里で暮らしている。
エリ
イウリの娘
黒髪の女性。
あらすじ
新たに世話係として加わったリカとバイカ。
これまでクロイズの凶行で女のいなかった城に女が二人来た事で、アケトはこれまで周囲に男しかいなかったことで学べなかった事を知る事になる。
そのリカとバイカを連れてきたタザは、山中に潜む知らない言葉を話す者達、異人の対処のため他の防人たちと山へ向かった。
雪深い山中、倒れた人らしきものを見つけたタザ達はそれに接近。
しかし、それは異人たちの仕掛けた罠だった。
先頭に立ち確かめようとしたタザは落とし穴に落ち、崖下に滑落。
その後、異人たちから襲撃を受けた防人たちは、応戦するも雪が強くなってきたこともあり、タザを救助する事なく山から撤退した。
そんな経緯で仲間に置き去りにされたタザだったが、雪に埋もれた彼を救う者があった。
目覚めたタザにサイと名乗ったその青年は、ヤオと同じく不老不死で失われた知識を持っていた。
感想
今回は馬泥棒の異人に対処するため山に入り、雪の降る山中に置き去りにされたタザのエピソードから始まり、リカとバイカによって少しづつ変わるアケト、王としての教育に悩むケイト、先王クロイズの過去、不老不死だというサイとタザ、防護シートとヤオ、山人の集落とタザ、クロイズの影におびえるアケトなどが描かれました。
その中でも今回は先王クロイズの過去が印象に残りました。
貧しい土地にしがみつき生きることにあきらめを感じていたクロイズ。
それでも、王になり秘密を知るまでは、まだ正気を保っているように見えました。
しかし、病で苦しむ父アズマ殺害し王を継いだ彼は、王だけに伝えられる秘密を知り狂気を帯びました。
彼が何を知ったのか、時折作中に登場する高度な科学技術の産物など、トオワの民の他、作中の人々のルーツが気になります。
まとめ
鎖国を続け物資など、徐々に疲弊していくトオワ。
現在のかじ取り役であるモリヤはどうするのか。
また、終盤登場したモリヤの妻と娘、イウリとエリが女人里に残り続ける理由とは。
物語がどこへ向かうのか、今後の展開が楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
作者の那州雪絵さんのTwitterアカウントはこちら。