お前、タヌキにならねーか? 3
著:奈川トモ
出版社:一迅社
お人好しな化け狸、こがね丸とその周辺の日常を描いた現代ファンタジー。
登場人物
雨紺(うこん)
化け狐
きつね色の髪の青年。
狐耳の美女に化けて動画配信でお金を稼いでいる。
いつか自分の社を立てるのが夢。
こがね丸に動画配信の手伝いを頼む。
化けるのは余り得意でないらしく、耳や尻尾をしまい忘れていたりする。
奥原(おくはら)
仕事に疲れたOL野々原ユキ(ののはら ゆき)のオフィスの清掃員
穏やかで明るい年配の女性。
誰にでも分け隔てなく接するユキを気に入っていた。
矢間(やま)
ユキのオフィスのあるビルの警備員
年配でやせ型の男性。
挨拶を欠かさなかったユキに餞別としてお菓子を渡す。
彼を含めた警備員たちはいつも笑顔のユキに元気をもらっていたようだ。
楽太郎(らくたろう)
温泉旅館「狸楽庵」の長男
黒髪の美少年な化け狸。
狐狸専用の湯「紫雲の湯」への案内を務める。
佐々木(ささき)
可愛いもの好きの男の子
自分の性別に違和感を感じている。
その事で男子たちからいじめを受ける。
藤田(ふじた)
黒髪のイケメンな女の子
彼女も自分の性別に違和感を感じているらしく、同様の悩みを持つ佐々木をいじめから助ける。
彼女は親から可愛らしいものを強要される事が苦痛だったようだ。
あらすじ
その日、浜辺近くの公園を歩いていたこがね丸は狐耳の女に捕まる。
女はこがね丸を抱き上げ「次の配信はこのタヌキとやるねー!」とスマホ片手に宣言した。
その後、女は変化を解き尻尾の生えた青年の姿となってこがね丸に謝罪をした。
彼の名は雨紺。
化け狐で先ほどの様に、美女に化けて動画配信を行っているらしい。
雨紺はこがね丸にその動画配信を一緒にやってほしいと頼んだ。
彼はどうやら信者(視聴者)と金が欲しいらしく、おっぱいの大きな美人とふわふわの毛玉狸がいればもっと稼げると踏んだようだ。
バイト代のから揚げ十個につられたこがね丸は、その後、雨紺と共に様々な企画に挑戦。
雨紺のチャンネルは登録者が一万人を超えた。
その事に喜びを感じつつ、自分を好きでいてくれる人は、嘘で作り上げた自分が好きなんだよなと呟き、こんなんでいいのかと悩みを吐露するのだった。
感想
今回は冒頭、化け狐雨紺のエピソードから始まり、雨降りの日、ユキの退職と思っていてくれた人々、雨紺の過去と夢、スマホを無くした雨紺、こがね丸とユキと温泉旅行、紫雲の湯、温泉旅行のお土産と小豆丸、女の子になりたい佐々木と男の子になりたい藤田等が収録されました。
今回はその中でも化け狐の雨紺のエピソードが印象に残りました。
彼は美女の姿で動画視聴者を騙し、再生回数を稼いでいる事に不安を感じていました。
正体がバレたら、自分が男でしかも狐だと知られたら全部無くなってしまうのでは無いか。
ただ、作中カミングアウトしても視聴者はよく出来たCGとしか認識していないようでした。
見ている人は自分が見たい夢を見る。
動画配信に限らず、テレビや漫画、小説なども受け取り側はそういう事なのかなとエピソードを読んでいて思いました。
まとめ
この巻では新たに化け狐の雨紺が準レギュラーに加わりました。
のほほんとしたタヌキたちと違い、シビアな様子の狐たち。
雨紺の様子を影から伺っている謎の青年の存在等、今後の展開が気になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この作品はpixivコミックにて一部無料でお読みいただけます。
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