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スチャラカ冒険隊、南へ ソード・ワールド短編集 各話冒頭部分あらすじ・感想

投稿日:2018年9月16日 更新日:


スチャラカ冒険隊、南へ

安田均 編
山本弘/清松みゆき 他
イラスト 草なぎ琢仁
富士見ファンタジア文庫

テーブルトークRPG「ソード・ワールドRPG」の世界フォーセリアを舞台にした短編集、第六作目。

今回はリプレイ集第一部のプレイヤーキャラクター、スチャラカ冒険隊をテーマにして書かれています。

この短編集では5作品が収録されています。

 

 各話のあらすじや感想など 

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スチャラカ冒険隊、南へ 山本弘

あらすじ
ザボ、アリシアン、ケッチャ、ユズ、ディーボ、ケイン、通称「スチャラカ冒険隊」の六人は、ケッチャのわがままにより、ベルダインからアリシアンの故郷、南のガルガライスへ向けて船で行くことになる。

船旅は順調に進み何事もなく一日目の夜を迎えた。

そんな中アリシアンは、お調子者のケインの様子に、少し違和感を感じるのだった。

感想
リプレイ集第一部のキャラクターたちのその後を描いた短編集。
一話目は六人がアリシアンの故郷ガルガライスへ向かう道中のお話です。

リプレイでゲームマスターを務めた、山本弘さんが執筆されているので、それぞれのキャラクターの個性がしっかりと再現されており、違和感なく物語を読み進めることができます。

問題解決の場面でも、彼らならこういう展開になるだろうと納得できるものでした。

かくもささやかな凱歌(トライアンフアル・ソング) 葛西伸哉

あらすじ
ガルガライスに到着した一行は、装備を新調するため防具屋に向かった。

買い物中に体格について揶揄われたユズは、パーティを抜けると啖呵を切り店を飛び出してしまう。

一人海を見ながら物思いにふけるユズ、そんな彼女に一人の男が声をかける。

バルビーと名乗ったその青年に、古代魔法王国の遺跡の調査を手伝って欲しいと頼まれる。

彼に協力することにしたユズは「かくもささやかな凱歌」と呼ばれる遺跡に赴くのだった。

感想
ユズに焦点をあてたお話です。

ゲーム的に言えば、彼女は様々な技能を取り過ぎて器用貧乏な状態になっています。

戦士としてはザボに及ばず、盗賊の役目はアリシアンに譲り、彼女は仲間にとって自分はいったい何なのだろうと悩みます。

今回のゲストキャラ、バルビーも技術は磨けても、生来の体格はどうすることも出来ず、冒険者としてなにも成すことが出来ない自分に悩んでいます。

彼らが挑んだ遺跡はそんな二人に答えを示してくれます。

この短編集の中で一番好きな物語です。

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子供たちはくじけない 友野詳

あらすじ
ガルガライスの冒険者の店「潮風亭」に突然現れた異国風の少女。
彼女は一行の座っていたテーブルに大きな壺を置き、この壺を見張ってほしいと宣言する。

彼女は説明を求めるアリシアンたちを無視して、壺の中に入ろうとする。

ちょっかいをかけたケインと止めようとしたアリシアンを巻き込んで、三人は壺の中に消えてしまった。

気が付いたアリシアンが周りを見渡すと、草原の中、森なども存在する広い空間だった。

彼らが此処に来ることになった原因の少女、ユーマの話では此処は壺の中だという。

アリシアンたちは脱出のため探索を開始するのだった。

感想
アラビアンナイトや西遊記等、壺や器、鏡の中に別の世界があるお話はよく出てきます。

豪華な宮殿やご馳走があっても、閉ざされた世界は息苦しく、開かれた世界に飛び出したいと感じてしまいます。

真実の鏡 中川政博

あらすじ
古代魔法王国の迷宮の中、ザボ、ケッチャ、ディーボの三人はアリシアンたちとはぐれさまよっていた。

自分の土地に迷宮があることを発見した依頼人から仕事を受けたのだが、探索の途中、迷宮の罠により離れ離れになってしまっのだ。

探索を行いながらザボは冒険を始めた当初、ケッチャやディーボたちとの出会いを思い出すのだった。

感想
リプレイ以前のザボ、ケッチャ、ディーボたちの出会いが描かれます。

彼ら三人がパーティを組むことになった経緯、ケッチャがザボをどう思っているのか等、リプレイを読んだ方には気になる内容になっています。

見えすぎた目 清松みゆき

あらすじ
ガルガライスの冒険者の店「潮風亭」でルリアという真珠とりの少女に、兄を助けて欲しいと依頼された。

彼女の話では兄はどうやらスキュラに襲われたようだ。
一行は依頼を受けることにして彼女の案内で海沿いの洞窟に向かう。

洞窟の入り口でケインはアンデットの気配を感じる。

嫌な予感を感じつつも彼らは洞窟の奥へと進むのだった。

感想
依頼をうけ六人で問題解決にむかうという、オーソドックスな構成のお話です。

この短編集のなかでは、TRPGのテイストが一番色濃く出ている作品だと思います。

まとめ

スチャラカ冒険隊のお話は初めてリプレイという形で読んだ作品で、TRPGを知らなかった当時キャラクターたちが臨機応変に対応する様子をみて、コンピューターゲームにはない面白さを感じました。

この短編集は小説という形で後日談が書かれています。

六人それぞれの個性が書き手によって再現され、生き生きと描かれています。

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