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ただひとたびの奇跡 ソード・ワールド短編集 各話冒頭部分あらすじ・感想

投稿日:2018年9月16日 更新日:


ただひとたびの奇跡

安田均/水野良 編
水野良/白川剛 他
イラスト 米田仁士
富士見ファンタジア文庫

テーブルトークRPG「ソード・ワールドRPG」の世界フォーセリアを舞台にした短編集、第七作目。

今回はファンタジーに欠かせない「魔法」をテーマにして書かれています。

この短編集では4作品が収録されています。

 

各話のあらすじや感想など 

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魔術師の遺産 白川剛

あらすじ
魔法王国ラムリアース、ルーナムの街でフィル・アーウェンは導師昇格試験を受けていた。

過去に三度挑戦し、今回こそはと意気込み挑んだが、結果は散々なものだった。

一人下宿近くの酒場で飲んでいると、ガインが声をかけてきた。
彼はドワーフだが魔術師を目指している変わり者だ。

二人で酒を酌み交わしていると、ガインがドワーフでも魔法が使えるようになる方法を見つけたと話し出した。

フィルは今までにもガインから、その手の眉唾な話は聞かされていたのでまたかと思ったが、自分の才能に不安を覚えていたフィルは、話に乗ることにした。

ガインの話では古代魔法王国の迷宮に魔法の杖があり、それを手にすれば魔法の素養のない者でも、魔術を行使できるようになるというのだ。

フィルとガインは魔法の杖を求め迷宮に向かうのだった。

感想
魔術の才能が全くないドワーフであるガインが、魔術師を目指す気持ちは何となく理解できます。

人は自分ない物に憧れ、手が届かないとは解っていても、追い求めてしまうものなのでしょう。

風の泣く谷 江川晃

あらすじ
西の大国オーファン、ヤスガルン山脈の麓の村アルエへ、リュテスは向かっていた。
物心ついたときに飛び出して以来、一度も戻っていない。

戻ることになった切っ掛けは、一通の手紙だった。
差出人はドワーフのガザル、手紙には父親であるグレッグが姿を消したとだけ書かれてあった。

久しぶりの故郷でガザルに再開したリュテスは、父が居なくなった経緯を聞かされる。
どうやら風溜まりと呼ばれる場所に向かい、消息を絶ったらしい。

リュテスは父グレッグとは確執があった。
グレッグはリュテスが幼いころから、精霊使いになることを強要され、息子を一流の精霊使いにすることだけに心血を注いできた。

父親の執念に囚われてしまうことを嫌ったリュテスは、故郷であるアルエを飛び出したのだ。

ガザルの家を後にしたリュテスは村はずれで、狂った精霊が暴れているのに遭遇する。

暴れていた精霊、シルフを撃退したリュテスは、彼女が戦っている最中に言っていた「扉を開けて」というメッセージが心に残った。

風溜まりに何が起きているのか、父の目的は何だったのか、それを知るために、リュテスはガザルと共に風溜まりに向かった。

感想
グレッグの真意が物語が進むにつれ明らかになっていきます。

なぜ彼が風溜まりにこだわったのか、シルフが狂った理由と共に解明されていきます。

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鎮魂歌幻想 中川政博

あらすじ
吟遊詩人のルートは相棒である魔術師のファレンとオランの東、エリサーナの街を訪れていた。

街に近づいた二人は異変を感じる。
街には門番もおらず、喧騒も聞こえない。
二人を迎えたのは無人の街並みだった。

住民はどこに行ったのか、争った形跡もなく、人だけが跡形もなく消えていた。

無人の宿屋で食事の準備をしていた二人は何かの気配に気づく。
追いかけた二人が捕まえたのは幼い少女だった。

少女はニーサ、彼女に食事をふるまい、何が起こったか尋ねるが首をふるだけで答えてくれない。

よほど恐ろしい目に合ったようだ。
ニーサを寝かしつけ、宿で物思いにふけっていたルートは、背筋に悪寒を感じる。

振り返り確認すると、一体のレイスが戸口に現れていた。

感想
ソード・ワールドの魔法の中でも、呪歌は特殊な扱いです。

魔力は必要なく楽器と歌声があれば、聞くもの全てに影響を及ぼします。

音楽にはそれ自体に力があり、聞くものの心に影響を与えるのは現実でも同じだと思います。

ただ一度の奇跡 羽根頭冒険譚4 水野良

あらすじ
ロマールから脱出したライスたちは、東に向かい職人たちの国エレミヤにたどり着いていた。

追っ手を差し向けられ、何度か戦闘になったが、撃退しエレミヤで漸く人心地ついたところだった。

路銀も尽きていた彼らは、条件は悪いが仕事を受けた。

そこにドルティと名乗る初老の男が現れる。
彼は至高神に司祭で、パーティに加えて欲しいという。

ライスは幸運神の教義と、自分の信条から、ドルティの申し出を受けるのだった。

感想
羽根頭冒険譚、第四作目のお話です。

ドルティはファリス教団で、高司祭の地位にありながら、神聖魔法である奇跡を起こすことが出来ません。

なぜ自分は奇跡を起こせないのか、ライスたちとの冒険を通じて彼自身が気付いていきます。

まとめ

今回は魔法がテーマということで古代語魔法、神聖魔法、精霊魔法、呪歌をそれぞれのお話で取り上げていました。

魔法はファンタジーにはなくてはならない要素だと思っています。

これにより物語の幅がさらに広がり、リアルでは実現不可能な設定や展開も、お話に組み込むことが出来るでしょう。

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