大蛇に嫁いだ娘 1 ビームコミックス
著:フシアシクモ
出版社:KADOKAWA
額に傷がある事で山の主への供物として嫁ぐことになった娘、ミヨ。
山の主は齢、500を数える大蛇だった。
ミヨへ怯えを抱きながら大蛇の嫁として彼の世話をする事になり……。
登場人物
ミヨ
右の額に傷のある娘
巨大な大蛇の姿に怯え、最初は一緒に暮らすのは無理だと思っていた。
大蛇
山の主として山奥の社に住む大蛇
知能が高く言葉を喋る事、体が大きな事を除けば生態は普通の蛇。
獲物(狐、狸、兎など)を丸のみにしたり、ミヨの匂いや味を舌で感じ取ったりした事でミヨには完全に引かれていた。
ミヨの祖父
白髪無精ひげの老人。
村の子からいじめられていたミヨを慰め、最後まで守ろうとしていた。
八兵衛
山に住む古だぬき
額に三日月の傷を持つ狸。
言葉を喋れる事で人との会話に飢えていたミヨの話し相手となる。
旅の僧侶
坊主頭の目つきの鋭いイケメン。
恩人の敵討ちの為、旅を続けている。
あらすじ
大蛇に嫁いだミヨの仕事は本殿の前の掃除の他、大蛇が暖を取るための巻き割り。罠にかかった餌の回収などだった。
夜、回収した獲物の狐を大蛇は隣の部屋で丸のみにしていた。
ミヨはその音を聞きながら食事を取る事となったが、ゴキュゴキュと喉を鳴らし飲まれる狐を想像し、箸が進む筈も無かった。
たった一日で耐えられないと根を上げたミヨは、その夜、社から逃げ出した。
「早く、早くもっと遠くに!」
自分自身に言い聞かせ夜の山道をミヨは必死に走る。
だが彼女は木の根に足を取られ転倒。
体を起こし顔を上げたミヨを大蛇がのぞき込んでいた。
慌てて言い訳をするミヨの前に大口を開けた大蛇の顔が迫る。
あ、私死んだ。
そう悟ったミヨだったが、大蛇は彼女を咥えると自身の背にポンッと乗せた。
大蛇は「可哀想に大変だったね」とミヨに声を掛け、くじいた足の心配をしてくれた。
その後、大蛇の背に揺られ社へと帰る一人と一匹を月が明るく照らしていた。
明るく輝く月を見ながら大蛇は「ようやく夫婦らしい事ができたなぁ」と呟く。
「本当にいい夜だなあ」
「……そうですね」
大蛇にそう返しながら、ミヨは帰りたいと心の中で呟いた。
感想
登場人物の男性が髷を結っていないので、時代的なイメージは明治ぐらいでしょうか。
山の奥の社に住む大蛇に一人の娘が嫁ぐ場面からこの物語はスタートします。
あらすじで書いたように、ミヨは自分を一飲みに出来そうな大蛇に怯え、最初は恋愛感情など一切抱いていませんでした。
そんな彼女が熊に襲われた所を大蛇に救われた事で、恐怖は感じながらも段々と変わっていきます。
他の作品では恐れ祀られた神や妖は、人の姿を取る事が出来たりしますが、大蛇は大きな蛇のままミヨと日々を過ごしています。
この巻の終盤、心を通じ合わせた二人。
彼らの関係がどう変化していくのか、読むのが楽しみです。
まとめ
作中、登場した鋭い目をした旅の僧侶。
恩人の敵討ちの相手は大蛇なのか?
彼の動向も気になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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