自転車屋さんの高橋くん 5 torch comics
著:松虫あられ
出版社:リイド社
朋子(ともこ)が東京に帰ってしまうのではないか。
朋子のスマホの画面を見てしまい、彼女が引っ越し業者を探している事を知ったまさやんは遼平(りょうへい)にその事を伝えた。
そんな二人の話を聞いていた遼平の祖父は、彼に金を渡し朋子を追いかけろと発破をかける。
祖父とまさやん、二人の言葉で東京に向かった遼平は偶然、朋子の元同僚の祖母と出会い、彼女の荷物を巡って山本とも再会する。
山本の家族へのカミングアウトを経て、遼平は彼に車で朋子の実家へと送ってもらうのだが……。
登場人物
山本耕起(やまもと こうき)
朋子の元同僚
黒髪のイケメン。
家族に自分が同性の方が好きだと告白した。
母親はショックを受けたが、祖母の清子(せいこ)は辛い思いをさせたと泣いた。
朋子の父
癖ッ毛のおじさん
幼い朋子に自分の理想の子供像を押し付ける。
思い通りにならないものは全て相手が悪いと考えるタイプ。
不倫の末、子供が出来、朋子たちを捨て不倫相手と結婚した。
嫌い。
浅野(あさの)
朋子の父の不倫相手
隼人を身ごもり朋子の父と結婚した。
隼人(はやと)
朋子の異母弟
黒髪の少年。
人と上手く話せず引きこもりとなった。
朋子の愛犬たもつの元飼い主。
たもつが朋子の父を噛んだ事で、たもつは朋子に引き取られる事になった。
タケル
現在、朋子の父の家で飼われている犬
ウェルシュ・コーギー。
叱る事で言う事を聞かせようとする朋子の父に委縮している。
あらすじ
たもつの毛を異母弟の隼人に渡しに行った朋子。
そこで朋子は父親と再会する。
久しぶりに会った父は老けてはいたが、以前と変わらず自分に都合の良いように周囲を動かそうとするままだった。
彼は見知らぬ朋子に唸り声を上げるタケルをドンッと床を踏み鳴らし叱った。
怯えたタケルを見た朋子は、鳴き声はこの子の声だよと父を止めた。
「そうは言ってもしょーがないだろ、近所迷惑なんだから。次は猫飼わないとな」
「お父さんは犬も猫も飼う資格ないよ……たもつに噛まれた時に……気付くべきだったんだよ」
口答えされた事で父は戸惑い、仕事を辞めた事を持ち出し、あっちで何かあったんだろと返した。
そんな父の言葉に、朋子は良い子である事を求められた子供時代を思い出す。
朋子が居心地の悪さを感じていると、彼女を追って母の聡子(さとこ)と遼平が父の家にやってくる。
遼平の見た目にしり込みしつつ、朋子の父はどなたと尋ねる。
「彼氏だけど……」
そう言った朋子の腕を引き、父親は朋子をリビングへと連れ戻した。
「ああいう奴と付き合ってるから! ちょっとおかしくなったんだろ! 朋子……良い子だったのに!!」
それを聞いた瞬間、朋子は父親を突き飛ばしていた。
感想
今回は朋子の父親のエピソードから始まり、隼人とたもつ、逃げ出したタケル、遼平の怪我と思い出された過去、遼平の祖父の事と良平が朋子の好きなところ、イタリアンとこれから等が収録されました。
その中でも今回は朋子の父親の事が印象に残りました。
彼は登場人物やあらすじでも書いた様に、自分の理想に当てはまらない事を叱ったりする事で矯正しようとするような人物です。
他者に馴染めず引きこもっている隼人の事を、無理やり連れだそうしたり、それを見て噛みついたたもつを保健所に連れて行こうとしたり。
暴力を振るうとかではないですが、何となく他者にアイデンティティを認めていない感じを読んでいて受けました。
人が自分と同じく悩み生きている事。
それを想像出来ない、思った事さえないんじゃないだろうか。
身勝手な彼の行動や言動を見ているとそんな事を思いました。
まとめ
この巻では作中、逃げ出したタケルを追って道路に飛び出した朋子を抱き寄せ転倒した遼平の怪我の治療で病院に行った事で、朋子は過去に遼平と接点があったことを思い出します。
その事がきっかけで、遼平の祖父が心臓に持病を抱えている事、その事で遼平は家を空けたくない等が朋子に伝えられました。
お互いの事を話し、絆が深まった二人。
同棲の事とか先が気になります。
こちらの作品はトーチwebにて一部無料で閲覧いただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。