ブルージャイアントエクスプローラー 5 ビッグコミックススペシャル
作:石塚真一
出版社:小学館
後に世界的なサックスプレイヤーとして名を馳せる、宮本大の軌跡を描いた作品。
そのアメリカ編。
国境を超え、メキシコのティファナを訪れた大とエージェントのジェイソン。
二人はそこでピアニストのアントニオと出会う。
アントニオは大のサックスをシリアス過ぎると酷評。
その後演奏されたアントニオのピアノは軽快で、強さを求める大とは全く逆のスタイルだった。
登場人物
ジェシー
アルバカーキ、唯一のジャズクラブ「ジャズポスト」店長
スキンヘッドに髯の老人。
大に入院したサックス教師の老人、スティーブの代役を仕事として紹介する。
ハリー
大がレッスンする事になった少年
金髪ポッチャリで生意気な男の子。
ソプラノサックスを練習中。
キャロル
大がレッスンする事になった年配女性
ショートカット眼鏡の老婦人。
チャーリー・パーカーの大ファンで演奏も優しい音を好む。
アクセル
大がレッスンする事になった男性
ゴミ屋敷に住む髯のおじさん。
あんまり向上心は無い。
ニーラ
大がレッスンする事になった少女
黒髪褐色の眼鏡少女。
ジャズに数学的な美しさ、機械的な速さを求めている。
スティーブ
テナーサックス奏者
眼鏡で口髭の老人。
教え子たちの口ぶりから、とても良い教師である事が窺える。
彼は大のヨーロッパでの活躍を知っている様だ。
あらすじ
アントニオの演奏を聞いた翌日、大はそのアントニオに誘われジャズバーでセッションを行う。
大は軽快なラテン系のピアノを弾くアントニオに低評価を付けていたが、セッションではシリアスと彼が評した大のサックスに見事に合わせてみせた。
二曲目は大がアントニオに合わせる形で演奏。
明るく軽いアントニオのピアノに大は合わせるだけで精一杯だった。
俺達は全く合わないね。
そう言ったアントニオに大は組んでくれと頼む。
何のメリットが? そう問うアントニオに大は成長できる、俺もお前もと返した。
成長とか曖昧な答えが一番嫌い。
Are you scared?(怖いのか?)
はぁ?
ピンと来ていないアントニオに大はおれはこれからデカくなる。
それが分からないならお前はミュージシャンとして終わっている。
そんな挑発じみた言葉を重ね、最終的に大は連絡先を渡し組んで下さいと頭を下げて店を後にした。
感想
今回はメキシコ、ティファナでのアントニオとのセッションから始まり、サンディエゴでのジェイソンとの別れ、西部の砂漠を一人旅、アルバカーキで皿洗いとサックスのレッスン等が描かれました。
今回はその中でもアントニオとのセッションと、レッスンの様子が印象に残りました。
これまで大は強い音を求め、周囲も彼の音に引っ張られ演奏していた様に思います。
ですが、今回、アントニオとのセッションで大は初めて人に合わせました。
また、スティーブの四人の教え子たちにサックスを教える事で、人それぞれに求める音がある事に気付いた様でした。
強い音、それは大の持ち味であり魅力であると思いますが、別の音を取り入れれば彼のジャズは更に深みを増すのでは。
今回のエピソードを読んでいてそんな事を考えました。
まとめ
この巻のラスト、大がお膳立てをしたスティーブの教え子たちの発表会が開かれる事になりました。
大を追ってアルバカーキにやって来たアントニオを加えた発表会。
どんなステージになるのか、読むのが楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。