トライガン・マキシマム 12 YKコミックス
作:内藤泰弘
出版社:少年画報社
血界戦線の内藤泰弘さんの描く、SFガンアクション。
今回は航宙艦隊の自立種クロニカが、ナイブズに対して戦闘態勢をとるところから、物語はスタートします。
#1 旅の終わり 鳴りやまぬは息吹
あらすじ
航宙艦隊の自立種クロニカは、惑星上に自立種融合体の存在を感じ取っていた。
彼女の言葉で艦隊は融合体に対して戦闘態勢を取る。
それより一足先に、リヴィオとエンディレラの戦いは始まっていた。
戦いはエンディレラの一方的な勝利で幕を閉じた。
子供たちを守るため体を張ったリヴィオに、お礼にと外套を渡す少女。
それはかつてリヴィオが命を救ったジャスミンだった。
礼を言いその場を後にしようとするリヴィオに、子供の一人が帽子を手渡す。
彼は外套と帽子を手に、戦場へ駆け出した。
自分が守れる命の中に、彼女がいる事に感謝しながら…。
クロニカは融合体との戦闘に向けて、準備を整える。
同じ自立種のドミナは、データ共有で得た知識で、融合体を甘く見ているようだ。
彼女に注意を促し、クロニカは戦闘行動を開始した。
地上では、ヴァッシュがオクトヴァーンのシップの最上部で街を見下ろしていた。
左腕に手をやり、旅を…記憶を…思い出す。
ビックフォールから始まった、百五十年に渡るその旅路を……。
様々な事があった。
ジュライ。
賞金首として狙われた日々。
メリル達との出会い。
サンドスチーム。
月の大穴。
リィナ、シェイルばあちゃん。
ロストシップの人々。
マーロン。
酒場での一夜。
レガート・ブルーサマーズ。
GUNG-HO-GUNSの魔人たち。
ニコラス・D・ウルフウッド
そしてレム・セイブレム
旅が終わる―
だけど、日々は終わらない
俺が愛した このタフで優しい日々は…
宇宙空間ではナイブズに対して、クロニカが戦艦主砲を放とうとしてた。
砲弾の種類はトールハンマー。彼女は初撃で勝負を決めるつもりだ。
彼女は融合体の危険性を重く見ていた。
制御不能の強大な力を生み出すわけにはいかない。
オペレータがカウントダウンを開始する。
発射まで5、4、3、2、1…
地上、ヴァッシュは巨大な融合体となったナイブズと向き合っていた。
その姿が一瞬で消える。
街の真上、ナイブズは瞬間移動し、ヴァッシュの立つシップの上に出現した。
今回の見どころ
・ヴァッシュの過去と決意
作中、ヴァッシュが左腕を失うことになった出来事について語られます。
それはまだヴァッシュがナイブズと、つかず離れずで旅をしていた頃の事でした。
彼は旅人を襲い、生計を立てている村の村人に捕まります。
ナイブズはヴァッシュを助けるために、村人を皆殺しにしました。
地図を塗り替えると言い残し、立ち去ろうとするナイブズを止めるため、ヴァッシュは銃の引き金を引きます。
ですが、当時のヴァッシュの銃の腕は未熟で、ナイブズを止める事は出来ず、反対に左腕を切り落とされてしまいます。
村の出身者だという女性に助けられ、その村がプラント事故を引き起こし、それを食い止めようとし、その際にうけた汚染がもとで追放された人々だということを知ります。
その後、ヴァッシュは自身でその事故について調べ、彼らが汚染される事を承知で留まり、結果数百のプラントと、数万人の人を助ける事に成功した事をしります。
そこから得たヴァッシュの思いは、無知のまま物事を判断しようとする事に対する憤りでした。
彼は、何も知らないまま、人を排除するため振るわれる暴力に対して、許すことが出来ないと口にします。
ヴァッシュの人の命を守ろうとする理由の一つが語られるエピソードでした。
感想
クロニカが放ったトールハンマーは避けられ、ナイブズは成層圏を超えて艦隊まで触手を伸ばし、ドミナを操りトールハンマーを航宙艦隊に向けて放とうとします。
それを止めたのはヴァッシュでした。
彼はプラント自立種としてではなく、ただのガンマンとしてナイブズの前に立ちました。
プラントとしての力よりも、自らが磨き上げ、研鑽により身につけた、ガンマンとしての力をヴァッシュは選びました。
何千回もこいつと戦ってきた
抜き打ちの速度はお前の知覚の外
お前が今から相手にするのは、ただのガンマン
そしてお前は、そのただのガンマンの前にひれ伏す
…それだけだ。
上記のセリフは、彼が戦い積み上げてきた年月を、感じさせるものでした。
持って生まれた能力ではなく、望む未来のため、自らの意思で選択し、努力の結果得られた力。
そういうものが描かれた作品を見ると、とても心が震えます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。