魔もりびと 2 ヤングキングコミックス
著:東裏友希
出版社:少年画報社
国一つ飲み込んだという伝説のドラゴンの腹の中に広がるダンジョン。
そのダンジョンに挑んだ冒険者の一人、エルフのレンジャーのアリアリスはマンティコアの毒に倒れ、仲間に置き去りにされた。
ドラゴンの腹の中で暮らす魔もりびと、髯の老人ルモンに拾われた彼女は、ルモンが地上に買い出しに行く日まで居候させてもらう代わりに、魔物の子を預かる魔もりびとの仕事を手伝いながら、日々を過ごす事になる。
登場人物・登場モンスター
サラマンダー
炎を纏った蜥蜴というよりはサンショウウオのような見た目の魔物。
繁殖期には産卵場所である火口へ餌場から移動する習性を持つ。
その移動の際、程よい炎を見つけるとそこで産卵しようとする。
サラマンダーの皮はその耐火性能から高く売れる。
ヒカリアリ
地中で暮らすアリの一種で、一部の働きアリは体を発光させ餌の野菜を育てる習性を持つ。
魔もりびとのルモンはその習性を利用し家の地下でヒカリアリを飼い、畑を作っている。
仲間以外の臭いを感知すると襲う習性があるので、作業の際は匂い袋が必須。
ドッペルゲンガー
見たら死ぬとされる自分とそっくりな姿の魔物。
今回はアリアリスのドッペルゲンガーが現れた。
フィサリス
メデューサに寄生された踊り子
褐色の肌のセクシーな女性。
メデューサは宿主の頭部に寄生し意識を乗っ取り、激しく情熱的に体を動かす事で翼竜に捕食され、広範囲に卵を拡散させる事。
フィサリスは蛇の毒を定期的に抜く事と薬の服用で自分の意識を保っている。
メデューサの毒は神経毒で毒が体に回ると、まるで石化した様に動けなくなる。
踊る事が彼女の全て。
傭兵達
フィサリスをルモンの下へと連れて来た三人の傭兵
ガラが悪い。
ハリアント
白き壁の騎士団総長
長い金髪を持つ美形の騎士。
騎士団員は美形ぞろいでなんかキラキラしてる。
白き壁の騎士団は、生きた魔物を竜の体内から地上に持ち込む者を処断する。
ピルスナ
白き壁の騎士団団員
黒髪で褐色の肌を持つエルフの美少年。
総長に思いを寄せているようだ。
ワッケーロ
ミミックの宝を地上に持ち出す盗掘団の頭領
顔傷髯の荒くれ者。
ルモン達にミミックの宝の判別を依頼する。
ミミック
宝箱に擬態し人を襲う魔物
繁殖期には人を襲わず、宝物に混ぜて子を拡散させる。
ミミックは生きている限り成長を続け、最終的にはダンジョンの様な形を取るものもいる。
知能は高く人語も理解する。
あらすじ
ルモンを手伝い仕事をこなすうち、アリアリスはドラゴンの腹の中での生活も慣れてきた。
そんなある日、溜まったゴミを燃やそうと、ルモンの家を訪れていた魔石の宝飾師、シグルに火の石を取って声を掛ける。
「はいよ」
そう言ってシグルが渡したのは、火力アップの為に火の石の表面に風の石を張り合わせた試作品だった。
アリアリスはその事に気付かず石の力を発動、石は巨大な火柱を上げアリアリスを吹き飛ばした。
何とか無事だったものの、憤ったアリアリスは試作品の実験台にするなとシグルの胸倉をつかみ吠える。
まーまーと宥めるシグルを突然炎が襲った。
炎を放ったのは胎卵中のサラマンダーの雌。
どうやら先程の火柱に引かれ、ルモンの家の庭先を産卵場所と決めてしまったらしい。
周囲に炎を放つサラマンダーをこのままにはしておけない。
一度居着いたサラマンダーを別の場所にやる方法は二つ。
一つはより適した場所に移す。
二つ目は次の繁殖期を待つか。
選択肢として、一を選ぶのが普通だろう。
サラマンダーの皮はその耐火性能から高く売れる。
ルモンは虎穴に入らずんば虎子を得ずと、サラマンダーを本来の産卵場所である火口へ連れて行くと言い出し、アリアリスもそれに同行する事となった。
二人は耐火性能は劣るが炎に強い火鼠の皮を纏い、サラマンダーを連れて東の岩山を超えた先にあるうずまき火口を目指すのだった。
感想
今回は冒頭、サラマンダーのお話から始まり、ルモンの家の地下の畑、ドッペルゲンガー、メデューサの踊り子、白き壁の騎士団とミミックの財宝等が収録されました。
今回はその中でもメデューサに寄生された踊り子、フィサリスのエピソードが印象に残りました。
彼女は踊り子として限界を迎えており、それでも踊る為、最終的には翼竜に食われる事を目的しているメデューサを取り除く事無く寄生させています。
踊る事に全てを賭け、最後の瞬間まで踊り子だったフィサリスの姿は、儚いけれどとても美しかったです。
まとめ
今回は竜の腹の中の治安を維持する白き壁の騎士団が登場しました。
治安維持の為なら武力に訴える事をまるで躊躇しない騎士団。
彼らが今後、アリアリス達とどう絡むのか、次巻も楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
こちらの作品は少年画報社の公式サイトにて冒頭部分がお読み頂けます。
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