トライガン・マキシマム 9 YKコミックス
作:内藤泰弘
出版社:少年画報社
血界戦線の内藤泰弘さんの描く、SFガンアクション。
今回は孤児院を救うべく、ウルフウッドがディゼムバ向かう処からお話は始まります。
#2 旋風
あらすじ
ディセムバに辿り着いたウルフウッドは、家族とリヴィオを救うため、ミカエルの眼の待つ孤児院へ向かう。
彼はウルフウッドの到来を知らせる鐘として配置された、サイボーグ達の待つ荒野へ独り突入する。
戦闘開始の合図は爆発からだった。
S級サイボーグを一撃で倒したウルフウッドを、他のサイボーグが取り囲む。
彼らに負傷した仲間を拾い、ここから出て行くようウルフウッドは提案するが、彼らに仲間意識はなく、負傷した男を殺し、分け前を増やしてくれたことをむしろ喜んだ。
ウルフウッドは、話し合いは無駄と判断し、彼らを倒すべく行動を開始する。
ロケット弾で突出したサイボーグを倒し、空に向けて一発放つ。
バイクを走らせ、ハンドガンの引き金を引きながら、彼の脳裏に過去がよぎる。
ミカエルの眼でマスターは言った。
「障害になるものの人間性、思想、立場、一切考えるな。鈍る。」
無駄を省き、目的の遂行のみを念頭におけ。
マスターはウルフウッドの戦闘を確認し、その不甲斐なさに憤り、彼が敗れ死ぬことに涙を流した。
ウルフウッドがこれから戦うであろう男には、決して勝てないと確信したからだ。
マスターはそれほどに、ウルフウッドのセンスを評価し、失う事を惜しいと思っていた。
残り一人となった時、背を向けたまま空を指さす。
「ちょい右、そこやと直撃や。危ないで。」
戦闘開始直後、空に放ったロケット弾が男にむけて落ちて来る。
最後の一人を吹き飛ばし、一人も殺さず戦闘を終えたウルフウッドだが、スーパーアルティメットタイガーファミリーの最後の意地だと、サイボーグの一人が孤児院に向けてミサイルを放とうとする。
それを止めようとするウルフウッドだが、男は止まらず、破嵐万丈のようなセリフとともに、ミサイルを発射してしまう。
しかしウルフウッドが止めようとしたのは、男ではなく、ミサイルをつかみ男に投げ返したリヴィオだった。
投げ返されたミサイルで男は吹き飛んだ。
ウルフウッドはリヴィオに、あれぐらい撃ち落とせたと話し、それを聞いたリヴィオは、そんな言葉は御老体が嘆くと口にするのだった。
今回の見どころ
・サイボーグ達を殺さないウルフウッド
恐らくヴァッシュに出会う前のウルフウッドなら、マスターチャペルが言うように、サイボーグ達に顔を見せることなく皆殺しにしたでしょう。
しかし今の彼は、まるでヴァッシュのように、傷つける事はしても、命を奪うような攻撃はしませんでした。
ヴァッシュとの旅が、彼に変化をもたらした事を感じるエピソードでした。
※あくまで私見です。
感想
この9巻、そして10巻と続けてウルフウッドの話が続きます。
この巻の終盤、ウルフウッドの独白、ヴァッシュの事を否定しつつも認めている場面は涙腺が緩みます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。