トライガン・マキシマム 6 YKコミックス
作:内藤泰弘
出版社:少年画報社
血界戦線の内藤泰弘さんの描く、SFガンアクションです。
今回は、GUNG-HO-GUNSによるメリル誘拐も、ひと段落した後から物語は始まります。
#1 ザ・ガンスリンガー あらすじ
ヴァッシュをおびき寄せるための、人質として攫われたメリルはザジよりヴァッシュとナイブズの秘密を知らされる。
さらにヴァッシュから出現した羽根に触れ、彼が引き起こしたジュライ消滅の真実を追体験するのだった。
それは彼女の心に重くのしかかるのだった。
ガンスミスに仕事を断られた男は、捨て台詞を残して店を出ようとしていた。
男は丁度入ってこようとしていた、ヴァッシュとすれ違う。
ガンスミスはヴァッシュの顔を見ると、久しぶりだなと叫び声をあげた。
メリルはウルフウッドに、ヴァッシュについて相談しようとしていた。
しかし、彼も詳しいことは知らないようだった。
ただ、ヴァッシュが、世界を消し飛ばす力を持っている事は事実。
ウルフウッドは、危険を避けるため、仕事の配置換えを会社に打診するようメリルに忠告する。
ガンスミス、ブランドンの前で銃を試射するヴァッシュ。
それを見たブランドンは、銃に調整が必要な事を確認した。
ブランドンは、仕事にかかるまでには、酒を抜いておくと話し、ヴァッシュから銃を受け取った。
その様子を物陰から見ていた、ブランドンに仕事を断られた男、保安官のマードックは、事務所で憤っていた。
彼には街を守って来た自負があった。
それなのにブランドンは、マードックには銃を渡さず、余所者の仕事は喜んで受けていた。
彼にはそれが腹立たしかった。
その様子を偶々見ていたメリルは、昔の事を思い出した。
初めて人を撃った時、彼女は人目もはばからず吐き、失語症になったのだ。
ヴァッシュは、ブランドンから渡された、代わりの銃で射撃訓練を行っていた。
彼の足元には、無数の薬莢が転がっている。
引き金を引き続け、負傷した手から血が流れる。
ヴァッシュは右手に包帯を巻き、続けて銃を撃とうとした。
標的に目をやると、横に保安官が立っていた。
彼はヴァッシュが撃っていた標的を見て、何だよと口にする。
ヴァッシュの弾は、標的の右肩、右手、左肩、左手に穴をあけているだけだった。
「それだけ撃ちまくっといて、あのザマはねぇだろう」
「酒場であったね」と言うヴァッシュの腹に拳を入れ、マードックだと名乗る。
マードックは、ヴァッシュの事が気にくわないと口にしてから、次いでブランドンについて話した。
伝説の銃職人「フランク・マーロン」直系の名工。
ブランドンは、ただの酔っぱらいだが、腕だけは確かだ。
だがよとマードックは、続ける。
「あいつは完全にイカレてやがる。
穴の位置も、数も分からねえぐらいにな。」
そう話し、マードックが放った弾は、標的の胸と頭を破壊した。
得意そうにヴァッシュを見るマードックに、ブランドンが阿呆がと声をかける。
彼は、マードックをヒヨッ子と呼び、鉛弾ブチ込んでバンジャーイ、なんて低能に渡す銃は無いとマードックに言った。
上等だと声を上げるマードックに、街から昇る煙と地鳴りのような音が届く。
あらすじ2
爆発は銀行の方で起きていた。
駆け付けたマードックが見たのは、巨漢の男が装甲を着込み、小柄な男が頭の上の隙間からダイナマイトを投げ、自らはその装甲で身を守るという、馬鹿まる出しな戦法を使う盗賊だった。
保安官事務所は真っ先にやられたようだ。
相手は一体と踏んだマードックは、フリーズと叫び盗賊に銃をむけた。
その彼に、砂の中に潜んでいた盗賊の仲間達が銃を突きつける。
捕まり、ズタボロになり巨漢が掴み上げたマードックに、小男ののヤングウェイが、綺麗な花火になって散るのがふさわしいと銃を突きつける。
その様子を物陰から見ていたメリル達は、アタフタするばかり。
そこに一発のロケット弾が飛来する。
弾は盗賊の巨漢、装甲を着たイングウェイに当たるが、爆発はしなかった。
その隙をついて笑い声を響かせながら、ヴァッシュは盗賊たちを蹴散らした。
途中反撃を受け肩を負傷しながら、ヴァッシュは盗賊の手下を片付けた。
残るは頭目二人、イングウェイとヤングウェイだけだ。
ヴァッシュは、誰だと問うヤングウェイに戦うと損な男さと答え、マードックを解放し街を去れと口にする。
その様子をメリルは涙を浮かべながら見ていた。
そして思い出す、メリルが見たヴァッシュの記憶は、挫折と流血の痛みばかりだった。
全てを想い出してなお、その引き金を引くことはできるのか!?
「ヴァッシュさん!!!」
メリルの叫びと同時に、ヤングウェイは周囲にダイナマイトをばら撒いた。
ヴァッシュは銃を抜き放ち、導火線を全て打ち切った。
イングウェイに掴まれたまま、マードックは、その様子を目にし愕然とする。
あいつはロクに的にも当てられないヘタレなはず…。
そして気付く。
外していたのは急所ばかり、全ての弾丸が最初にあけた穴を通っていたとすれば…
何万発繰り返せばそんな事が出来る!?
ブランドンが投げた銃を受け取り、ヴァッシュは残った盗賊二人を倒した。
全てが終わり、新たな伝説が出来上がるのを見ながら、メリルは感じていた。
後悔が強いほど、より堅牢さをます意思の存在を……
今回の見どころ
・ヴァッシュとウルフウッド
ウルフウッドはヴァッシュを恐れながら、ナイブズとの契約により彼のそばを離れる事が出来ません。
そんな時、仲間を取り戻しに来たインヤンブラザーズ達との戦闘に巻き込まれます。
ヴァッシュの銃では護送車は破壊できず、ウルフウッドのパニッシャーでは素早く飛び回る標的をとらえきれません。
二人は、一瞬の判断でお互いの標的を切り替えます。
彼らのこれまでの旅がそれを可能にしているように思います。
※上記はあくまで私見です。
感想
ヴァッシュの記憶を見たメリル、ミカエルの眼として契約を遂行するウルフウッド、新たなミカエルの眼よりの刺客。そして力を使い疲弊する事による黒髪化。
人々の前で力が発現し、迫害を受けるヴァッシュ。
それでも笑っているヴァッシュに、ミリィは尋ねます。
「なんでこんな時も…そうやって笑ってられるんですか!?」
「もう分かんないんだ、どんな表情(かお)すればいいのか…」
そして物語は、事の始まり、船団が植民惑星を探し、宇宙を旅していた頃に遡ります。
上記のセリフの際のヴァッシュの表情、笑っているのにとても悲しく、切ない顔は心に深く残りました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。