トライガン・マキシマム 5 YKコミックス
作:内藤泰弘
出版社:少年画報社
血界戦線の内藤泰弘さんの描く、SFガンアクションです。
今回は前巻に続き、ガントレットたちとの戦いから描かれます。
#3 喪失 あらすじ1
ガントレットとミッドバレイに、人質として攫われたメリルを救出するため、ヴァッシュとウルフウッド、そしてミリィは龍津城に向かった。
そこでヴァッシュは、ガントレットが、かつて自分が消滅させたジュライの生き残りであると知る。
戦う意思を見せず、ナイブズとの決着を口にするヴァッシュに、ガントレットはつまらんと吐き捨て、メリルを餌にヴァッシュを誘きよせる事にした。
監視役として同行していたザジを屠り、メリルを助けに来たヴァッシュに、ミッドバレイの技で無音の中、弾丸と化し突進するガントレット。
その無音を打ち破ったのは、ミリィの放ったスタンガンだった。
音の戻った世界で、ミッドバレイの攻撃で視覚を失ったウルフウッドは、ミッドバレイに肉薄した。
銃を突きつけ合う、ウルフウッドとミッドバレイ。
ミッドバレイはウルフウッドを裏切り者と呼んだ。
対峙する二人の後ろに、ミリィが駆け付ける。
それが二人の均衡を崩し、トリガーが引かれる。
ウルフウッドは、咄嗟にミリィをパニッシャーで庇い、その隙をついて放たれた、ミリィのスタンバレットがミッドバレイを襲う。
スタンバレットを衝撃波で撃ち落とし、ミッドバレイは姿を消した。
彼は、ウルフウッドの戦闘力に、感嘆の声を上げていた。
ふと仕掛けられた爆弾に目をやる。彼がGUNG-HO-GUNSから抜け出す事を、手助けすると言ったガントレット。
その彼をアシストしきれなかった事を、ミッドバレイは心の中で詫びた。
音が戻り攻撃が届く前に、ヴァッシュに気付かれたガントレットだったが、そのままヴァッシュをグーデリアを使い、壁で押し潰す。
彼は、変な減速感を感じたことで、ヴァッシュを倒せたか確信が持てずにいた。
攻撃の影響で、体の自由が利かない彼の目に、羽根のような物が映る。
それはヴァッシュの体から、出現していた。
その姿は、ガントレットの脳裏に、ジュライの最後を呼び起こさせた。
ガントレットはグーデリアの推進器を作動させ、メリルの乗ったエレベーターごとヴァッシュを潰そうとした。
しかしヴァッシュから出現した羽根が、それを阻止しようと広がった。
羽根はガントレットの頭にも伸びる。それは、彼にヴァッシュの過去を見せた。
あらすじ2
ジュライでナイブズと再会したヴァッシュは、彼に銃を向けるが、一瞬で倒され、どこかに運ばれる。
そこでヴァッシュは、ドクターとナイブズが呼ぶ男に、何らかの処置を右腕にされていた。
ドクターは力の大きさに怯えを見せるが、ナイブズは「だったら俺たちを消すのか」と暗い目で彼を見返した。
ヴァッシュの羽根は、エレベーターの中のメリルにも届く。
変質した右手を見てヴァッシュは、「これはなんだ!!」とナイブズに問う。
ナイブズは自分たちの持つ力を、ずっと研究してきたと語る。
その間にも、ヴァッシュの右手は変化をつづけ、流れ込む力の大きさに思わず膝をつく。
ナイブズは、力について語り、ヴァッシュに問う。
「100年近く、その中で生きてきて
おまえ、いちども人間に対して、
憎しみを持ったことがなかったのか!?」
ナイブズはヴァッシュの制止を聞かず話を続けた。
彼はヴァッシュの躰の痕を見て、絶句したと語った。
「何度、裏切られた?
何度、傷つけられた?
何度、嘘をつかれた?
何度、屈辱をうけた?
人間扱いされなかったことは?
大切なものを奪われた事は?
いわれなく疑われた事は?
笑いながら踏みにじられた事は?」
ガントレットは、ヴァッシュの過去を見る事を拒むが、羽根は記憶を見せ続けた。
震えながら、ナイブズに銃を向けるヴァッシュ。
そんなヴァッシュにナイブズは、現実を凝視しろ、お前は矛盾だらけだと話す。
綺麗事と痩せ我慢の生き方が、お前の心を蝕んでいるんじゃないのか、そう言ってヴァッシュの顔に手をやり、言った。
「恨むぜ……レム
こいつをこうしちまったのは……あんただ」
それでも、ナイブズに手を伸ばし、襟首をつかむヴァッシュに、ナイブズはこの阿呆が!!と激高し頭を押さえつける。
ガントレットは、涙を流しながら乞う。
「見せないでくれ!!
JULY(あのとき)の、その瞬間など!!」
ヴァッシュが作り出した銃口は、ナイブズに向けられ、そして力は放たれた。
力はジュライを崩壊させた。
ガントレットが愛した女性を飲み込んで……。
感想
ヴァッシュの力の暴走により、愛する者を奪われたガントレット。またヴァッシュは、力の反動で忘れていた、ジュライでの一部始終を思い出します。
ジュライで出会った人々を失ったヴァッシュの涙は、とても切なく感じました。
ガントレットは、ヴァッシュに「生きて苦しめ」と言い残し、愛した女性に迎えられ、笑顔でこの世を去りました。
その顔はひどく穏やかで、満ち足りたものに感じました。
まとめ
レガートの狂気や、物凄く強そうなオカマ、エンディレラの登場など、これからの困難な旅路を、予感させる巻でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。