トライガン・マキシマム 4 YKコミックス
作:内藤泰弘
出版社:少年画報社
血界戦線の内藤泰弘さんの描く、SFガンアクションです。
今回は、パペットマスターたちを退け、落ち着きを取り戻したロストシップから物語はスタートします。
#1 COUNT DOWN あらすじ
砂海のパウダーサンド。
そのおかげで、ほぼ完全な形で残ったシップ。
それがヴァッシュのホームだった。
彼が着ているコートやピアス型の小型通信機は、このシップがもたらした恩恵だった。
そこで暮らす少女、ジェシカはヴァッシュに淡い恋心を抱いている。
ジェシカはご機嫌だった。
彼女の思い人であるヴァッシュに、手料理をふるまえるのだから。
張り切って、食事を手に振り向いた彼女の目には、余計な奴らの姿が映った。
彼女に取っては不本意だが、お邪魔虫たちにも料理をふるまう。
不意にウルフウッドが、船が完全な形で残っているなら、使えるプラントも多いはず、その割に食事が質素だなと口にする。
「それはね」とヴァッシュは語る。
プラントは、住民が最低限暮らせる物資を作り出す以外は、通信エネルギーの確保に回されている。
それは長距離通信に使われているそうだ。
ブラドが星間通信の話をするが、ウルフウッドにはいまいち、ピンと来ないようだ。
ヴァッシュは、ウルフウッドを通信室に案内した。
そこには天井に、地球を模したオブジェが備えられていた。
「この船は、地球に…」
ヴァッシュの説明では、100年近く前から、メッセージを送り続けているらしい。
ウルフウッドは思う。
助かるのか―?「俺たち」は―
この星は、ジリ貧だ。人口は減る一方、
いや食い扶持が一杯でこれ以上増えない。
プラントに依存して生きている以上、
それが干上がれば、集落一つ一瞬で滅ぶ。
救ってくれとは言わない。
ただ
「明日につながる、希望をくれ……
神よ……」
シップの通信制御室にてランプが点滅し、担当者に何らかの反応があったことを伝える。
慌ただしく解析が成され、鍵と圧縮文章だと判明する。
それに添付されていた解説文は、英語で書かれていた。
ルイーダが責任者に「結論は?」と尋ねる。
彼は言う。間違いありませんよ。我々は引き当てたんです。
親愛なる同士よ……
一世紀の星霜を経て
こうしてまた、お互いの存在を
確認し得た事
心より喜ばしく思う……
彼らの一世紀に及ぶ試みは、ようやく実を結んだ。
送られたメッセージは、亜空間パケット送信で行われていた。
地球ではワープドライブが実現している。
ならば、数年の間に……
船がやってくる!!
ルイーダが、シップのクルーに感謝と賛辞を送っている。
その様子を見ながら、ヴァッシュとウルフウッドは手を打ち合った。
その日、シップはお祭り騒ぎになった。
みんなしこたま飲み、そして幸せな気分で眠りについた。
一緒に騒ぎ眠っていたヴァッシュは、異様な気配で目を覚ました。
ナイブズが力を使おうとしていた。
彼の放った閃光は、大地を奔り成層圏の通信衛星を破壊した。
ナイブズはその力を使い、いずれ来る地球の船を刻み落とすと、暗い怒りのこもった目で語った。
誰にも言わず、ヴァッシュはシップを出ようとしていた。
それを見咎めたブラドが、せめてジェシカに何か言っていけと声をかけるが、必ず戻ってくると口にし、続けて「色々聞かれたら、顔に出しちまう」と話した。
ごめんな。そう言ってシップを出たヴァッシュを、凍えたウルフウッドが待っていた。
どういう事と尋ねるヴァッシュに、「あいつ」がおる限り本当の解決にはならないと答えた。
赤いコートの男と、十字架を背負った男は、再び旅立った。
ジェシカはその日、一日中泣いた。
今回の見どころ
・メリルとミリィ
二人をロストシップに置き去りにして旅に出たヴァッシュ達。
彼らが砂漠で立ち往生している所を、今度は逆にメリル達が素通りするシーンが笑いを誘います。
その後、病院でミイラのようになったヴァッシュ達の心の声が楽しいです。
感想
いつ干上がるか分からない、プラントに依存して生きる、この星の住民にもたらされた希望の光。
その光を守るため、希望を刻み落とそうとしているナイブズを止めるため、ヴァッシュはウルフウッドと共に再び旅に出ました。
彼らの前に、ヴァッシュに復讐心をたぎらせる、ホッパード・ザ・ガントレットと、GUNG-HO-GUNSを抜けようと画策している、ミッドバレイ・ザ・ホーンフリークが立ちふさがります。
この巻では、ヴァッシュとナイブズ、二人の秘密がGUNG-HO-GUNSの一人、ザジの口から語られます。
トライガンは所々、コミカルな話が挿入されるのですが、今回は砂漠で立ち往生したヴァッシュ達を、メリルとミリィが車に乗せず走り去る場面が楽しかったです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。