島さん 3 アクションコミックス
著:川野ようぶんどう
出版社:双葉社
白髪頭の人当たりのいい老人、島。
昼は警備員、夜はコンビニ夜勤として働く元ヤクザ?な島さんの日々を描いた作品、第三巻。
登場人物
もっさん
コンビニの客
ゲートボールが趣味の禿頭の老人。
最近はコンビニのイートインでコーヒーを飲む事にハマっている。
シゲさん
コンビニの客
温和な雰囲気の白髪の老人
彼の所属するゲートボールチームともっさんのチームの仲が悪く、シゲさんはその事で気をもんでいる。
マサル
母親と二人、夜のコンビニを訪れる少年
最初は店内で走り回ったり、お菓子の袋を叩いたりと迷惑な客だったが、島さんと触れ合い変わる。
木村(きむら)
島さんがヘルプに入ったコンビニの店員
黒髪の青年。
横柄な客には乱暴な口調で反論する。
その事で店を首になる。
常連の老女、ウミの長話はちゃんと聞く。
ホシ
島さんと同じく様々な店のヘルプをしている老人
黒髪禿の円らな瞳の男性。
声が大きく、元気で仕事は丁寧。
お礼を言われるのが苦手。
みなみの叔父
みなみが店長を務める店のオーナー
体を壊し入院していたが、復帰する事無く意識不明に。
その後、店はみなみが引き継ぐ。
赤井(あかい)
コンビニ店員
糸目の中年女性。
居酒屋とコンビニを掛け持ちしている。
湘(しょう)
島さんの幼馴染
リーゼントな少年。
彼も島さんと同じく、親に捨てられたようだ。
あらすじ
午前三時、深夜のコンビニの前で、その男は赤ら顔をアイスを食べていた。
食べ終わったアイスの棒をムシャクシャしていた男は投げ捨てる。
すると、店員だろう白髪頭の老人にポイ捨てを注意された。
酒でボンヤリする頭で謝ると、その老人は笑みを浮かべ頭を下げ、今度は灰皿の掃除へと向かった。
灰皿には大量の吸い殻が。駐車場にはそれ以外にも、カップラーメンがぶちまけられていたりした。
大変ですね。コンビニの仕事も。
思わず声を掛けた男に、夜勤は掃除も重要な任務だと話し、これ知ってますと小さな金属のコテを取り出した。
老人はこういう所に使うんですとしゃがみ込み、地面にこびりついた黒い汚れをコテを使い剥す。
汚れはどうも吐き捨てられたガムのようだ。
綺麗に取れたら気持ちいいもんです。
老人はそう言って微笑んだ。
周囲を見回せば、駐車場には至る所に黒くなったガムが落ちていた。
やってみます?と老人は問い掛けたが、男はなんでオレがそんな事!!と思わず叫んだ。
その後、老人はコテを塵取りの側に置いてレジに戻った。
男は何となく、そのコテを手に取り駐車場のガムを剥し始めた。
その後二人はガムを剥し続け、空が明るくなる頃には駐車場のガムは全て剥されていた。
その成果を見て男は老人と顔を見合わせ笑みを浮かべる。
その後、老人が差し入れてくれたコーヒーを飲みながら、思う。
仕事をした後の気持ちって、こんな感じだったと。
男は仕事で大きなミスをし、全てが嫌になり家にも帰らず、気が付けば全然知らないこの街にいた。
だが、老人と一緒に一仕事終えた事で、そんなモヤモヤした気持ちはすっかり消えていた。
感想
今回は冒頭、仕事のミスで嫌になった男とガム取りから始まり、ゲートボール対決、少年と島さん、不器用な木村、ヘルプのホシ、みなみの過去と叔父さん、推しの為なら、少年時代の島さんと湘等が描かれました。
今回はその中でも不器用なコンビニ店員、木村君のお話が印象に残りました。
彼は理不尽なクレームに憤り、乱暴な客にはキレて言い返してしまう様な人物です。
客商売ではそれは致命的であり、基本、島さんの様に頭を下げて対応するのが一般的だと思います。
ただ、店員が低姿勢なのを良い事に、高圧的な態度で迫る客には不快なものを感じます。
本部にクレームを入れる、SNSで拡散する等、そういう言動は脅迫に思え、立場の弱い人をただ、いたぶりマウントを取って自分の存在を誇示している様にしか見えません。
誠実な対応には誠実で返す。
店員と客では無く、人と人として、そういうのが大事なんじゃないかな。
エピソードを読んでいて、そんな事を思いました。
まとめ
少年時代の島さんは親に捨てられたという過去はありますが、稲三の下で真っ当に育っている様に感じます。
そんな島さんが何故、背中に刺青を背負う事になったのか。
彼の過去が気になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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