ラストカルテ ―法獣医学者 当麻健匠の記憶― 1 少年サンデーコミックス
著：浅山わかび
出版社：小学館
動物の怪我や死の原因を探り、検証する法獣医学者を目指す少年達の物語。
登場人物
当麻健匠（とうま けんしょう）
白髪の男子高校生
記憶力に優れ関心を持った物事を仔細洩らさず記憶する能力を持つ。
どうぶつの気持ち、そしてその死について興味を持ち、法獣医学者を志す。
法獣医学は法医学の動物版。
法医学は裁判等で必要とされる医学的事項を調査する学問。
死体を調べ検証を行い、死因の特定等を行う。
茨戸爽介（いばらと そうすけ）
健匠のクラスメイト
黒髪オールバックでキリッとした顔立ちのクール系男子。
姉の雷花（らいか）の助手として法獣医学を学んでいる。
茨戸雷花（いばらと らいか）
爽介の姉、美森大学の獣医師
茶髪ロングの快活な女性。
大学付属の野生動物医療研究センターに所属している。
当麻琴弓（とうま ことみ）
健匠の妹
黒髪ショートの女の子。
センターに保護された元ペットのシマリス、キョーちゃん（雷花命名）を引き取る。
ケダマ
半野良の黒猫
家庭菜園をやっている女性の家に居着いていたが、突然姿を消した。
あらすじ
関心事には異常な記憶力を発揮する高校生、当麻健匠。
進路に悩む彼はその日の放課後、公園のベンチに座り自分は何がしたいのだろうと夢について考えていた。
その帰り道、騒めく人達を見かけ足を向けると、そこには二羽のカラスが死んでいた。
通報した人が現場を確保する警官に話した内容では、近くでももう二羽死んでいたらしい。
カラスがどうなるのか、健匠が警官に尋ねると獣医師に渡されるそうだ。
馴染みのない事柄に「へー……」と呟く健匠の前に現れたのは、女性獣医師の茨戸雷花とその弟でクラスメイトの爽介だった。
何故爽介がここにいるのかと驚き、声を掛けた健匠に雷花は爽介の友達とハシャギ、クールな爽介との違いに健匠は少し引いていた。
その後、カラスの死体を回収し、車に積み込んだ爽介に健匠はカラスがどうなるのか尋ねた。
「これから調べるけど、一緒に来る？」
雷花の言葉に「いや……」としり込みした健匠だったが、爽介の
「来いよ。気になるんだろ」
と言う言葉で車に乗り込み大学へと向かった。
車内で聞いた話では雷花のやっている事は法獣医学といって、動物の死因を探り、犯罪捜査や裁判などに必要な医学的事項を調べる学問らしい。
今回のカラスの死もその原因を調査解明するようだ。
そうして辿り着いた野生動物医療研究センター。
健匠は雷花の立ち合いの下、カラスを解剖する爽介に驚き、解剖しながらその死因を探る姿に強い興味を覚えた。
センターからの帰り道、爽介に死因について尋ねると、彼はカラスの口内が黄色く染まっていた事から、原因は「シアホノス」、農薬に使われる成分で、有機リン系化合物だと当たりを付けた。
それを元に雷花が仮診断書を作成し、それを警察の科捜研が調べ正式に分かるらしい。
そんな話をした翌日以降もカラスの死体はセンターに持ち込まれ、最終的に死体は38羽に上っていた。
感想
動物の死や事故等、その原因を調査解明する法獣医学。
作品は法獣医学者を目指す二人の少年、健匠と爽介を中心にセンターに持ち込まれる死体や怪我をした動物をテーマに、事件や事故がどうして起きたのか調査する形で進んでいきます。
今回は冒頭のカラスから始まり、タヌキの死、シマリスと琴弓、粘着シートとエゾフクロウ、老女とケダマ等が描かれました。
野生動物の死因の特定。
死体自体をあまり見る事が無く、その死因について深く考えた事はありませんでした。
この作品では主人公の少年二人が、動物の死や事故についてさながら探偵小説の様に紐解きその真相に迫っていきます。
ただ、被害者は動物ですので事件性のある話よりは、日常で起きた事故がメインになる様です。
次巻、どんな動物が登場するのか、読むのが楽しみです。
まとめ
獣医が主役の作品はこれまでいくつか読んできましたが、その殆どが治療がメインになっていた様に思います。
終ってしまった命から、そこに至るまでも経緯を読み解く。
獣医×ミステリー。物語がどう展開していくのか楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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