ながたんと青と ―いちかの料理帖― 8 KC KISS
著:磯谷友紀
出版社:講談社
周(あまね)の兄、山口縁(やまぐち えにし)の妻で周の幼馴染でもある鈴音(すずね)。
彼女は娘の小夜子(さよこ)を政略結婚の道具としてしか見ていない縁に憤慨し桑乃木(くわのき)に身を寄せていた。
その鈴音が大阪の山口の家に戻る事を決め、周はいち日(いちか)と養子のみちやを連れ鈴音に同行する事となり……。
登場人物
川島栄(かわしま さかえ)
山口家次男、川島家に婿入りしたため現在は川島姓
もともといち日の妹、二葉が見合いする筈だった青年。
経営の勉強の為、アメリカに留学していた。
物腰の柔らかな美青年。
やり手のビジネスマンだが食に対して興味はないようだ。
二葉との縁談を蹴り、金の為に結婚した女性にも興味はない模様。
林雅典(はやし まさのり)
俳優
山口が出資する映画会社の新作映画の主役を務める。
栄がお膳立てしたキネマ雑誌の取材で桑乃木を訪れる。
宵待ケイ子(よいまち けいこ)
女優
山口が出資する映画会社の新作映画のヒロインを務める。
栄がお膳立てしたキネマ雑誌の取材で桑乃木を訪れる。
いち日はケイ子が満州生まれでロシア人の血を引いている事を調べ、彼女にロシア風ロールキャベツ、ガルブツィを出した。
あらすじ
家業を栄えさせる事に重きを置く山口家。
そんな仕事重視の家に戻る事を怯える鈴音に付き添い、周はいち日とみちやを連れて実家である山口家に、桑乃木の業績の報告も兼ねて戻った。
父親への報告は問題無く終わったが、いち日はそこで周の兄、山口家の次男である栄と出会う。
栄は物腰は柔らかだが押しの強い性格で、好調な桑乃木の勢いを見て二号店を出す事を提案する。
彼の提案に山口の長男、縁も賛同。
思ってもみなかった栄の言葉にいち日は慌て、周もまだ早いと提案を退けた。
その場は考える時間が欲しいという周の言葉で何とか治まったが、栄はその後も桑乃木に入り込み……。
感想
今回は山口家の次男、栄による桑乃木二号店の提案から始まり、味方のいない鈴音が骨折している周に山口の家での静養を勧めたり、いち日の誕生日に周が桑乃木に復帰した慎太郎(しんたろう)の手を借りケーキを作り、カメオを送ったり、栄が年の瀬に突然、アメリカ人の客を連れて来たり、栄が桑乃木に入り込み二号店の計画を勝手に進めたり、いち日の妹、ふた葉と慎太郎の披露宴が行われたりしました。
今回はその中でも、周からカメオを送られたいち日の反応がとても可愛かったです。
いち日と周、お互い政略結婚である事を踏まえた上で、ビジネスパートナーとして割り切った関係として始まった二人。
ですが夫婦としての時間を重ねるうち、彼らは魅かれ合いお互いを意識する様になっています。
ただ、いち日は年の差の事で素直になれない様です。
そんな感じで周といち日の恋愛も気になる一方、桑乃木二号店の計画を強引に進める栄の狙いも気になります。
山口の家からの独立を目指し、桑乃木を立て直そうと奮闘している周。
栄はその周を飛び越えて、桑乃木の先をコントロールしようとしているように今回のエピソードを読んでいて感じました。
いち日と周は栄の思惑に対抗できるのか、先が気になります。
まとめ
物腰は柔らかで人の輪にスルっと入り込むタイプの男、栄。
水面下で根回しを行い自分の計画を淡々と進める彼の出現で、桑乃木がどうなるのか。
次巻も楽しみです。
こちらの作品はコミックDAYSにて一部無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。