相続探偵 4 イブニングKC
原作：西萩弓枝
漫画：幾田羊
出版社：講談社
将棋店「かおる堂」の主人、加藤香車（かとう きょうしゃ）の遺言の一件を無事解決した灰江（はいえ）。
彼への次なる依頼は老舗和菓子店の相続問題だった。
登場人物
百万遍紘一（ひゃくまんべん こういち）
老舗和菓子店「鳳凰」の店主兼職人
白髪の頑固そうなおじさん。
独創性と繊細さを併せ持つ和菓子を作り黄綬褒章も受賞した。
京都では「けったいなお人柄」で有名。
テレビに取り上げられた直後、くも膜下出血でこの世を去る。
宮野野心（みやの やしん）
鳳凰の職人
黒髪涙ボクロの青年。
紘一の息子だが正妻ではなく妾の子。
職人としての腕は一流。
百万遍雅（ひゃくまんべん みやび）
紘一の正妻
黒髪で我の強いおばさん。
百万遍正臣（ひゃくまんべん まさおみ）
紘一の嫡男
令子の話では祇園通いのアホぼんという事だが……。
宮越多津子（みやこし たつこ）
紘一の妾
黒髪和服の上品な女性。
元紘一の許嫁だったが、実家が自己破産した事で破談となる。
正妻との間に子供の無かった紘一に乞われ、息子野心を生んだ。
その際のいずれ結婚するという約束も正臣の誕生で反故となった。
紘一の遺言が生前の彼の言葉と余りに違う事で、解決を求め灰江の事務所を訪れる。
川北与平（かわきた よへい）
鳳凰の番頭
嫌味なおじさん。
紘一の死により立場の弱くなった野心に嫌がらせを行う。
あらすじ
京都の老舗和菓子店「鳳凰」。
店主の百万遍紘一は黄綬褒章も受賞した超一流の職人で、高い評価を受けている。
そして彼の息子、野心も若き天才職人として期待されていた。
テレビでも取り上げられ、順風満帆に思えた鳳凰だったが、紘一がくも膜下出血で他界。
そんな折、灰江の元に紘一の妾、宮越多津子が訪れる。
彼の残した遺言では、財産は正妻の雅とその息子の正臣が相続する事になっていた。
しかし多津子が生前聞いた話では「鳳凰」という「ブランド」は正臣に、「作業場」と「売り場」は野心に譲るという話だったという。
灰江はこのけったいな遺言の真相を突き止めるべく、京都へと向かうのだった。
感想
今回は前回から引き続き、灰江の将棋仲間、加藤香車爺さんの遺言状のお話の結末から始まり、京都の老舗和菓子店の相続問題が描かれました。
今回はその中でも和菓子店「鳳凰」の二人の息子が印象に残りました。
正妻の息子、正臣は令子の話とは違い、経営手腕に優れた実業家タイプの人間でした。
一方、妾の息子、野心は職人としては一流ですが、店を切り盛りする能力は無くビジネスマンとしては素人のようでした。
全く別の才能を持つ二人の異母兄弟。
何となくですが、紘一は名と実を分ける事で二人の息子に手を携えて欲しかったんじゃないかなと読んでいて思いました。
まとめ
作中、紘一の本物の遺言書が見つかり多津子の言っていた通り、鳳凰の名前は正臣に、店は野心へと渡ります。
二人はその後、別々に商売を始めるのですが……。
母親たちの対立もあり、あまり関わりを持たなかった様子の異母兄弟。
彼らがどんな選択をするのか、亡父紘一の遺志は……。
どんな顛末になるのか、読むのが楽しみです。
この作品はコミックDAYSにて一部無料でお読みいただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
