銀河のカーテンコール 2 モーニングKC
著:北駒生
出版社:講談社
押し花のしおりを無くした眞(まこと)にグロリオサを渡そうと図書館を訪れた元庭師の誠二郎(せいじろう)。
だが、眞は池に落ちて風邪を引き休みを取っていた。
プライバシー保護の観点から連絡先を教えて貰えず、誠二郎は図書館を後にする。
一方、図書館から連絡を受けた眞は携帯を持たない誠二郎を探し、やがて二人は橋の上で偶然巡り合う。
登場人物
楓(かえで)
誠二郎の孫
眼鏡ショートボブの少年。
眞の好きな作家、藤之江遥(ふじのえ はるか)のファン。
山吹(やまぶき)
眞の元婚約者、理一の同僚
ショートカットでクールな女性。
合歓木花(ねむのき はな)
眞の祖母
昔、誠二郎が働いていた柾造園(まさきぞうえん)に庭仕事を頼んでいた。
現在は病院に入院している。
七竈(ななかまど)
万里(ばんり)の後輩
困り眉でジト目の男。
何でも屋の万里の手伝いをたまにしている。
柊(ひいらぎ)
理一の友人
前髪パッツンロングの猫目の女性。
クラブの店員。
眞は昔の理一の事を彼女に尋ねる。
フジ
理一の昔の仲間
理一とともに活動していたが、その活動から抜けた。
藤之江遥との関係性は今の所不明。
あらすじ
誠二郎と会う事が出来た眞だったが、風邪の所為でそのまま倒れ誠二郎の家に担ぎ込まれてしまう。
誠二郎は孫の楓に眞を託し、薬を求めドラッグストアに走った。
眞は程なく目を覚まし楓と小説家、藤之江遥の話で打ち解ける。
警戒心を解いた楓は祖父、誠二郎の事も眞に話した。
本当は誠二郎ともっと話してみたい、だが楓は喋るのが苦手で出来ればスマホを使いLINEで話したいが、誠二郎はスマホが嫌いだから……。
そんな話をドラッグストアから戻った誠二郎は廊下で聞いてしまった。
思えば幼い頃からそうだった。花や木が好きでそれ以外の事は遠く、最初から諦めていた人生だった。
翌朝、高台にある誠二郎の家の道からは街が一望出来た。
眞は木に水をやろうとしていた誠二郎に声を掛け、彼と並んで街を眺める。
誠二郎は遠くに見える赤い光を放つ塔を指差しながら、アレは何だろうとずっと不思議に思っていたと話す。
思えば、周囲の人たちにも同じ思いを抱いていた。
楽しそうに光っているのは見えるが、自分はそこに辿り着けない。
職人でいる時は庭と草木と暮らす人の事がはっきりと見えた。
しかしつながる手段はどんどん変わって、今は一斉にうつむく子らを遠目で眺めるだけ……。
素直に携帯をつかってりゃ、眞さんを走らせることも無かったのに……。
自嘲気味に言った誠二郎に眞はスマホを翳し、塔の事を検索して彼に説明。
無言で俯き座っている様に見える人達も実は誰かと繋がっている。
「繋がってみませんか、お誠さんも。届かない光じゃないですよ」
そんな話をしていた二人の上をジェット機がひこうき雲を引いて飛んでいた。
感想
今回は孫の楓の言葉や眞との会話でスマートフォンを持とうと決意した誠二郎の奮闘、誠二郎にスマホの使い方を教える事になった理一、理一の過去と藤之江遥等が描かれました。
理一の過去についてはまだ詳しく描かれておらず、彼が仲間と為そうとした何かが、中心人物だったフジと呼ばれる人物が抜けた事で挫折したという事ぐらいしか分かりませんでした。
今回はそんな理一の変化についてが印象に残りました。
物語冒頭、彼はなんでも理詰めで合理的に処理するビジネスマンとして描かれていました。
ですが、この巻では誠二郎にスマホの使い方を懇切丁寧に教えていました。
さらに彼の友人、柊の話で元々は緊張しいで人付き合いも苦手だったようです。
彼が変わる切っ掛けとなった過去とはどういった物だったのか、抜けたというフジは小説家、藤之江遥なのか。
色々気になります。
まとめ
遠くから眺めるだけで、近づけないと諦めていた誠二郎。
物語を紡ぐ事に憧れながらも、踏み出せないでいた眞。
二人は互いが光になり、その光に向かって歩き始めました。
そして理一も誠二郎との出会いで変わり始めました。
彼らの歩みが何処に向かうのか、次も楽しみです。
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