カナカナ 3 少年サンデーコミックススペシャル
著:西森博之
出版社:小学館
人の心が読める少女、佳奈花(かなか)は見た目は凶悪だが、優しく広い心を持つ青年、正直(まさなお)と共に暮らしている。
その佳奈花の力を使いギャンブルで儲けようとしている沢田(さわだ)が彼女の前に再び現れる。
正直に迷惑を掛けまいと、佳奈花は一人、沢田と戦う決意をする。
その姿を正直の友人、沙和(さわ)は目撃し、不穏な物を感じた彼女は正直に電話を入れるのだが……。
登場人物
ウコンのばーちゃん
以前、佳奈花がスーパーでウコン(うんこ)について尋ねたばーちゃん。
持病があるらしく薬を持ち歩いている。
彼女の心の声を聞いた佳奈花によって、一命を取り止める。
海猫
浜辺で釣り糸が絡まり上手く飛べなくなっていた。
英子の父
街の名士らしい夏影家の当主
海猫を哀れむ英子に、夏影家の人間としての振る舞いを語る。
あらすじ
沙和から連絡を受けた正直はすぐさま現場に駆け付けた。
だが連絡を入れた沙和は、正直が怒りを見せる事に酷く怯えていた。
正直の怒り。沙和の心を読み取った佳奈花は漠然とこれまで見た、怒る大人たちの姿を想像し、そんな正直は見たくないとギュッと目をつぶった。
そんな佳奈花の様子に戸惑っていた沢田の後ろに、正直が音もたてず忍び寄る。
彼はスッと空を指差し、通行人の注意を逸らすとその隙を突いて沢田の首に無言で手刀を放った。
その一撃で沢田は気絶。
正直は崩れ落ちる沢田を即座に抱え、旧友と語らう様な振りをして彼を浜へと運んだのだった。
沙和が恐れていたのは、まるで機械の様に感情なくそれをやってのける正直の行動だった。
感想
今回は沢田と戦おうとした佳奈花と、それを見守っていた沙和、駆け付けた正直のエピソードから始まり、沢田の話を聞いたユースケ、追いかけっこが好きな少年、駆郎(かけろう)と佳奈花、超能力とおんぶ、釣り糸の絡まった海猫、海猫の恩返し等が収録されました。
今回はその中でも、超能力の存在を知られる事を恐れる佳奈花のエピソードが印象に残りました。
佳奈花は祖母から、力の事は秘密にする様に厳しく言われていました。
その力は悪い物で、知られればどんな相手も佳奈花の事を嫌う。
一人で生きていけ、誰も信じちゃいけない。
そんな祖母の言葉で、大好きな正直にも秘密を打ち明けられずにいます。
ある日、正直と買い物に出掛けた佳奈花は、苦しむ老女の心の声を聞き……。
老女の声に反応し助けを求めている事を伝えれば、正直は自分が超能力を持っている事に気付くかもしれない。
そうなればきっと自分は嫌われてしまう。
そんな葛藤がありながら、佳奈花は老女が危ない事を正直に伝え……。
きっと気付かれてしまった。
そう思い怯える佳奈花をおんぶした正直が、すごく素敵でした。
あと、佳奈花の力を知っても、正直は「すげーな」とかで終わりそうだなと、これまでの正直の行いを見ていると思いました。
まとめ
次回は、何故か秋の訪れを認めない正直が描かれる様です。
何故頑なに夏を続けるのか、その理由とは?
次巻も楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この作品はサンデーうぇぶりにて一部無料でお読みいただけます。