トライガン2 YKコミックス
作:内藤泰弘
出版社:少年画報社
血界戦線の内藤泰弘さんの描く、SFガンアクションです。
今回はヴァッシュが追う男、ナイブズの部下レガートとの出会いから物語はスタートします。
#6 魔人集結す あらすじ1
レガート、そう名乗った蒼い髪の男は、ヴァッシュが追い続けるナイブズの配下だと言う。
12枚のコインの片割れと、靴屋の首の入った紙袋を置いてレガートは姿を消した。
靴屋殺しの容疑者として、留置所につながれたヴァッシュを刺客の一人、GUNG-HO-GUNS、モネヴ・ザ・ゲイルが襲う。
街を巻き込みながら、ヴァッシュを攻撃するモネヴを、片腕を失いながらもヴァッシュは退けた。
厄介者を追い出す形で街を出たヴァッシュは、そこでモネヴが磔にされているの発見する。
彼を磔にしたのは、GUNG-HO-GUNSの二人目、E・G・マインだった。
ヴァッシュはレムを思い、命を奪う事を何とも思っていないレガートのシナリオに憤る。
マインはヴァッシュの早打ちの前に一瞬で倒され、ヴァッシュは遠方から事の成り行きを見ていたレガートに、銃弾を放つ。
弾はレガートの顔の横を通過(無論わざとだ)、ヴァッシュは攻守の交代を宣言し、レガートにお前は俺の獲物だと言い放つのだった。
メイ・シティを出たヴァッシュは、バスに乗り次の街オーガスタへ向かっていた。
保険屋の二人もヴァッシュと共にバスに乗り込んでいた。
オーガスタまで2000km、見渡す限り砂と岩の荒野をバスはひた走る。
ヴァッシュはレガートに、宣戦布告した時の事を思い出していた。
彼はヴァッシュが獲物だと叫んだ時、とても嬉しそうに笑ったのだ。
彼の底知れない実力と狂気を感じて、今更恐怖を感じるヴァッシュ。
我知らず、その恐怖は独り言として口から漏れ出し、シャレにならんと口にした彼の方が、シャレにならん危ない奴とバスの乗客に怯えられていた。
そんな中、ヴァッシュは地平線に何かを見つける。
それは巨大な十字架を背負った黒いスーツの男だった。
男はバイクが壊れ、砂漠を歩いて移動していたらしい。
あんなデカい十字架担いで歩いてりゃと呆れる乗客に、男は商売人としてのプライドあるしなと答えた。
商売?と尋ねる乗客に、男は牧師だと返した。
乗客たちは口々に、牧師は商売じゃない、そんな恰好の聖職者はいないと男に言った。
主よ、世間は偏見と思い込みに満ちています。男はそういって、メリル達に見つけてくれた礼を言った。
二人は見つけたのは自分たちじゃないと、ヴァッシュを指さす。
男はヴァッシュを見ると詰め寄り、大声で名前を叫ぼうとする。
ヴァッシュはその口を塞ぎ、騒ぎは御免だと声を押さえるように言う。
男は手配書でヴァッシュの容姿を知ったようだ。
なんで気付かへんのやと話し、思い出したように、自己紹介しとこと名を名乗った。
「ウルフウッドや、ヨロシク!!」
そう言って手を差し出す。
握り返した手を、ウルフウッドは激しく振った。
あらすじ2
ところ変わって、ジュネオラ・ロック。
メイ・シティとオーガスタ・シティの中継地点であるこの街で、解体屋の総長が手勢を引き連れ、一人の男を探していた。
蒼髪、白いコートの男に、彼の部下は皆殺しにされたのだ。
街中を捜索する手下を見ながら、総長は笑みを浮かべた。
男の死を確信している総長の後ろに、蒼い髪の男、レガートが音もなく立つ。
男に、「家」か「あの世」か行き先を尋ねるレガートにクスクスと笑いを返す総長たち。
無駄な質問だったとレガートが、解体屋を殺そうとした時、彼が待っていた連中が街に着いた。
レガートは彼らに、半分殺せと命令を下した。
そして虐殺は始まった。
一方、オーガスタまでの途中の補給所で、ウルフウッドはバスの料金を精算していた。
手持ちの無いウルフウッドは、運転手にまけてえなと頼む。
運転手は渋々了承し、お礼にとウルフウッドは、運転手の頭に箱をかぶせた。
何だよコレ!と言う運転手に、ウルフウッドは懺悔箱と答える。
懺悔室の携帯版だそうで、これで罪の告白を聞き、お布施を貰っているようだ。
その様子を見たヴァッシュは、これも修行かと問うが、ウルフウッドは、あくまでお仕事やと答えた。
彼の教会は、孤児院のような事もしているらしく、子供を抱えてカツカツで生活している。
OBである彼は、孤児院の為に稼だらなどうにもならんと話した。
稼ぐって牧師でかとヴァッシュが疑問を口にすると、ウルフウッドは、それだけやないけど、あまりいいとおないと答えた。
そう話すウルフウッドに、汚れた子供が二人、施しを求める。
ヴァッシュは子供たちに駄目だよ、その人お金持ってないと言いかけるが、ウルフウッドは、困ったなあと言いながら、財布からコインを三枚、手に落とした。
しゃがんで掌のコインを示しながら言った。
「ええか、これしかあれへんねん。」
そして、一枚づつ指さしながら言う。
「一枚はオマエ、一枚はオマエ、
で、もう一枚は…オレや
少のうて悪いが、ええかコレで。」
子供たちは笑顔を見せ、ウルフウッドの手からコインを受け取ると走り去った。
その様子を見て、ヴァッシュは知らず笑顔を浮かべていた。
その顔を見て、ウルフウッドは、そんな顔をできるんやないけと口にした。
なにがと問うヴァッシュにウルフウッドは、答える。
「心配しとったんや。
あんたいつもニコニコ愛想ええけど、
笑い方がカラッポで胸が痛なるんや
ツラくてしゃあないクセに、やせガマンだけで笑っとる
そんなふうに見えとったで」
それはヴァッシュの本質をついていたのか、彼は茫然とウルフウッドを見た。
ポーズを決め、セリフを吐いたウルフウッドだったが、彼の腹は正直に飢えを訴える。
助けを求める目で見るウルフウッドに、ヴァッシュは食事をおごる事を提案し、彼はそれに大喜びで飛びつくのだった。
ジュネオラ・ロック。
そこでは解体屋の総長が怯えた目でレガートを見上げていた。
レガートの後ろには、死体が山のように積まれている。
半分残したのは慈悲ではなく、解体屋自身に死体を処理させるためだった。
レガートはこれを成した者たちに、ご苦労と言葉をかける。
そこには7名の魔人が立っていた。
今回の見どころ
・ウルフウッド登場
今回は何といっても、この作品でも一、二を争う人気キャラ、ニコラス・D・ウルフウッドの登場が大きいでしょう。
今回はあまり活躍のシーンはありませんが、続編のトライガン・マキシマムでも大活躍します。
上記はあくまで私見です。
感想
今回は今後、トライガンマキシマムとして物語が続く中でも、重要なキャラクターが多数登場します。
ヴァッシュが追い続ける男、ナイブズ。
その配下であり、GUNG-HO-GUNSを束ねるレガート。
ヴァッシュとコンビを組むことになる、ニコラス・D・ウルフウッド。
私はこのウルフウッドの事が大好きです。
表面上は、おどけて飄々としていながら、内面はとても優しく、そして闇もその内に抱えながら、彼はヴァッシュと旅を続けます。
あらすじに書いたコインのシーンは、作品の中でも、とても好きなシーンの一つです。
自然な笑顔を見せる、ヴァッシュの表情が素晴らしく、ウルフウッドの事が一気に好きになりました。
無印トライガンはここで一旦終了し、物語はトライガンマキシマムへと続いていきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。