白蛇様の花嫁 2 ガンガンコミックスONLINE
著:佐保里
出版社:スクエアエニックス
あの世とこの世の境にある島。
そこであの世へ渡る渡し舟の事務所兼めしやで働く、女将の依子(よりこ)とその料理指南役の辰彦(たつひこ)。
裕福な商家の娘だった依子は、戦争で指を失い包丁を握れなくなった辰彦の口頭での指導に、迷いながら訓練を続ける。
そんな依子の様子に、辰彦はお手本を見せられない事への申し訳無さを感じるのだった。
登場人物
石黒兵介(いしぐろ へいすけ)
向こう岸への船に乗らず島に隠れていた男
坊主頭の脱走兵。
無理に島に居座っていた事で煤で汚れた様に真っ黒になっていた。
紗代(さよ)
島の顔役である潮見(しおみ)の孫娘
黒髪ロングの少女。
石黒と同様、手足が煤で汚れた様になっている。
理由は不明だが喋れない様だ。
石黒の様な未乗船者を森に止める為、森の奥の屋敷で暮らしている。
竜次(りゅうじ)
潮見の家の使用人
煤で汚れた体で顔に包帯を巻いた少年。
屋敷に一人住む紗代の世話を行っている。
紗代の為に無理に島に留まっている為か、声は発せるが会話は出来ない。
あらすじ
見本の作れない辰彦の指導は分かりづらい部分もあるものの、それでも板前として仕事をしていた彼に教わる事で、依子の腕は確実に上がっていた。
その日は捌いたマグロでマグロ丼をこしらえ、島の地主の息子である志龍(しろう:神様)へと山中の社へと届けた。
志龍はそのマグロ丼に舌鼓を打ち、とても喜んでくれ依子は辰彦に料理を教わって良かったと心から思うのだった。
その帰り道、森の中の参道を下っていた依子を、真っ黒になった男が襲う。
男は依子の叫びを聞いて駆け付けた辰彦が取り押さえ、大事には至らなかったが、連れ帰った男は座り込みブツブツと何か呟くのみであった。
顔役の潮見の話では男は未乗船客、渡し舟に乗らず森に隠れていた者の様だった。
長く森に居続けるとこうなる。
ともかく綺麗にしよう。そう考えた依子は絞った手ぬぐいで男の体を拭こうとした。
辰彦が危ないと彼女に代わり男の体を拭ってやったが、汚れは一向に落ちる気配はない。
それならと依子はめしやの向かい、日替わり宿の温泉水を貰い、その温泉に浸した手ぬぐいで男を拭ってやる事にした。
すると先程、水で拭った時は落ちなかった汚れが落ちた。
全身の汚れが取れたその男は、以前、妹とはぐれた少年、修三郎に突っかかっていた男だった。
感想
今回は渡し舟に乗らず汚れ(穢れ?)を持ってしまった男、石黒のお話から始まり、志龍:しろの従者となり失った指を取り戻した辰彦、未乗船者の捜索、森の中の屋敷で暮らす少女、紗代、使用人の竜次などが描かれました。
この巻では前巻で依子が話していた、森にいる黒い化け物の正体、未乗船者の姿が印象に残りました。
このお話では、しろの意向に逆らい島に留まり続ける者は正気を無くし黒く穢れていく様です。
何となくですが、その様子は成仏せずこの世に留まり続ける霊を思わせました。
流れに逆らい、その場に止まると淀み汚れていく。
そんな事を収録されたエピソード読んでいて思いました。
まとめ
新たに登場した紗代、そして竜次。
その紗代はしろの事を嫌っている様子でした。
彼女としろに何があったのか、その辺りも気になります。
この作品はガンガンオンラインにて一部無料で読む事が可能です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。