マンドレイクの館
安田均 編
山本弘 他
イラスト 米田仁士
富士見ファンタジア文庫
テーブルトークRPG「ソード・ワールドRPG」の世界フォーセリアを舞台にした短編集、第四作目。
四作目も三作目と同じくモンスターをテーマにして書かれています。
この短編集では3作品が収録されています。
各話のあらすじや感想など
マンドレイクの館 山本弘
領主であるビリティス・ウェルボーンの暗殺が今回の任務だ。
当初はベテラン暗殺者であるローリンが担当していたが、暗殺に失敗、レアンに仕事が回ってきた。
ビリティスの館は見かけによらず守りが固く、先任者のローリンがビリティスが馬車で出かけた所を狙ったのも頷けるものだった。
しかしローリンは返り討ちに合い、捕らえられ閉じ込められた穀物倉庫で自殺した。
きな臭いものを感じたレアンは危険を承知で館に侵入するのだった。
感想
シャドーニードル、レアンは盗賊都市ドレックノールの盗賊ギルド幹部、闇の王子ジェノアの異母妹に当たります。
ジェノア自身が表に出ることは少ないですが、様々な陰謀の黒幕として今後も名前が上がるでしょう。
シャドーニードルはリプレイ第一部に登場します。暗殺者としては優秀なはずなのですが、リプレイではプレイヤーたちの運(サイコロ)によりあっさり倒されてしまいました。
子供たちは眠れない 友野詳
あらすじ
ユーマはアレクラスト大陸北東部、シェイの村に住む精霊使いの卵だ。
自分ではもう一人前だと思っているが、母から言わせればまだまだ修行が足りないらしい。
今日も些細なことから親子喧嘩をして家を飛び出して、森の中にあるお気に入りの樫の木の枝の上で昼寝をしていたら寝過ごしてしまい真夜中になってしまっていた。
枝の上で母や兄、幼馴染のバナーの事について愚痴をいっていると、村とは反対の丘のふもとから話し声がきこえる。こっそりのぞくとゴブリンの集団がいた。どうやら村を目指しているようだ。
ユーマは村にゴブリン来襲を伝えるべく駆け出すのだった。
感想
ゲームでは雑魚モンスターとして登場するゴブリンやコボルト、スケルトン、ゾンビなども集団になれば大きな力を持ちます。
一対一なら勝てても一対十なら殺されるでしょう。
ユーマ達は地の利を生かし何とか村を救おうと奮闘します。
駆け出しで、力も弱い彼らが知恵を絞り、難局を切り抜けようする場面はゲームにはない面白さを感じます。
幻獣の遺産 清松みゆき
あらすじ
ロマールに近い小屋の中、ネイル達は途方にくれていた。
仲間の一人ボズが朱頭病(レッドキャップ)に侵されたのだ。
このままだと一週間もすればボズは怪物になってしまう。
ネイル達は特効薬を求めロマールの闇市を訪れる、闇市では手に入らないものは無いといわれているが、それには大金が必要だった。
ボズの治療に必要なリグリア紛薬はとても高価で、手持ちの資金ではとても手が出せない。
彼らはリグリア紛薬の原料であるリグリア石を求め、リグリア石を体内に宿す幻獣リュンクスを狩ろうとハルキア高地を目指すのだった。
感想
現実でも像やクジラ等、動物からとれる素材を得るため乱獲が行われたりしました。
美しい毛皮や装飾品、日用品の材料として狩られ続け姿を消した生き物も多いでしょう。
このお話ではボズの命を救うため、一頭のリュンクスが狩られます。
猫好きなので少し複雑な気持ちになりました。
まとめ
今回の短編集も前回に引き続きモンスターをテーマに書かれており、ソード・ワールドにおけるモンスターの生体・特徴等が細かく描写されています。
モンスターの中にも知性を持ったもの、野生動物と変わらないものが存在しています。
多種多様なモンスターたちが物語に彩りを添え、ファンタジーには欠かせない要素となっています。