チ。 ―地球の運動について― 第六集 ビッグコミックス
作・画:魚豊
出版社:小学館
地動説の研究を進め一応の完成をみたオグジーとバニーデ。
二人は異端審問官ノヴァクの手によって捕らえられ処刑され、石の箱の中に残された地動説の研究も全て接収されてしまった。
地動説に関する物は全て消え去ったかに思えた。
しかしバニーデは貧民達の頭に刺青の形でオグジーの書いた手記を残していた。
それから25年後……。
登場人物
シュミット
異端解放戦線、隊長
黒髪口髭の男。
C教の聖書については信じていないが、世界を作った神の存在を信じ、自然を崇拝している。
話が長い。
フライ
異端解放戦線の戦士
黒髪の青年。
爆薬の調合に精通している。
レヴァンドロフスキ
異端解放戦線の戦士
ツンツン髪でもみあげ髯の男。
力持ち
ドゥラカ
放浪の民の少女
黒髪で浅黒い肌の知恵の回る女の子。
両親を亡くし死の恐怖に怯えている。
その恐怖を払拭する為、お金を儲け富を得る事を信条としている。
叔父の言葉で神を信じる事を止め、自ら考える様になった。
あらすじ
オグジーとバニーデの死から二十五年の時が過ぎ、C教の権威も揺らぎ始め、様々な派閥が生まれ始めた頃。
聖書の教えを否定する、異端解放戦線と呼ばれる組織が台頭してきていた。
その異端解放戦線の隊長の一人、シュミットはわざと囚われの身となり、C教正統派の教会に潜入していた。
神父による尋問の最中、彼は仲間を呼び込み神父が呼んだ兵士達と対峙する事となった。
敵の数は十名、シュミット達は三名。
制圧は難しい様に思えた。
しかし、シュミットの部下、レヴァンドロフスキの持ち込んだ爆薬を使いシュミットは一撃で敵を吹き飛ばし、教会の床を破壊した。
床下には保管庫があり、そこには彼が求めた書物が収められていた。
その書物は、バニーデの同僚、クラボフスキが貧民の頭部の刺青から復活させたオグジーの手記だった。
感想
今回はオグジーとバニーデの死から時代が進み、C教の権威も揺らぎ始めた25年後から物語はスタートしました。
今回、主役となるのは異端解放戦線の隊長、シュミット。
そして放浪の民の少女、ドゥラカ。
シュミットは全ての宗教を否定し、神を人間の想像の外にあると定義する自然崇拝者。
一方のドゥラカは神の存在自体を否定し、人の進歩や発展を求める無神論者。
分かり合えない二人ですが、オグジーの手記の出版という点で、シュミットはC教による人々の解放の為、ドゥラカはオグジーの手記を利用した金儲けの為、協力していく事になります。
C教の権威は弱まったとはいえ、教会はまだまだ力を持っており、その力を背景にしたドゥラカ達の様な元異教徒に対する振る舞いは傲慢なままです。
今後、オグジーの手記が世に出回る事でそれに変化が起きるのか。
次回も読むのが楽しみです。
まとめ
この巻のラストでは前巻で審問官の一人によって救われた少女、ヨレンタが異端解放戦線の組織長として登場しました。
彼女がバニーデと共に得た知識、そしてオグジーの手記がどのような影響を与えるのか、色々、楽しみです。
こちらの作品はビッグコミックBROS.NETにて第1、2話が無料で閲覧いただけます。
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