978-4 キューナナハチヨン 4 ヤングキングコミックス
著:ヤマモトマナブ
出版社:少年画報社
北海道のとある神社の敷地内にある書店。
朝日河神社書店。その本屋では神様の導きで必要な本と巡り合う奇跡が起きるという。
現役書店員である作者の描く、すこし不思議な本屋さんの物語。
その完結巻。
登場人物
社長
朝日河神社書店の社長
モジャモジャ眼鏡の顎髭おじさん。
先代から事業を引き継いだ二代目社長。
対前年比で売り上げ120%を達成しないと書店の営業を終了すると店長の大谷地(おおやち)に通告した。
美南(みなみ)
美容師の岡崎靖典(おかざき やすのり)の先輩
セミロングの女性。
プロポーズされその答えに悩んでいる。
置嶋(おきしま)
男子中学生
黒髪そばかすの少年。
学校でいじめにあい自殺を考え、その方法を知る為、書店を訪れる。
あいか
富居(とみい)の息子、ミツルの担任
黒髪セミロングの女性。
ミツルから閉店の噂を聞き、店に授業の一環としてポップ造りの話を持ち掛ける。
山原翔(やまはら かける)
高校一年生男子
アルバイト志望者。
あらすじ
四月、朝日河書店アルバイト、中河泰弥(なかがわ たいや)も無事大学二年生へと進級した。
それに伴い、高校生のアルバイト、内村龍之助(うちむら りゅうのすけ)も三年に進級、受験を控え夏まででバイトを辞める事となった。
泰弥は学生は入れ替わりが激しく、自分の事は置いておいて効率が悪いと考える。
そんな泰弥に先輩の匂坂はそれは店長の方針だと説明した。
ベテラン店員と入れ替わる学生アルバイト。
それによってトレンド発信基地としても書店の鮮度を保っているのだ。
だから、君達には期待している。
そう微笑んだ匂坂に泰弥は喜ぶが、ドライな龍之助は期待されても時給以上の働きはしませんといつも通りの反応を示した。
開店後の忙しさも引いた昼前、レジに入っていた泰弥たちの下に、一人の女性客が苦情を申し立てる。
彼女いわく、龍之助におすすめの本を尋ねたら、自分だったら図書カードの方がいいと答えたらしいのだ。
選ぶのも面倒だし、買ってくれりゃあ何でもいいと思ってるんでしょ!?
そう言って激怒する女性を匂坂は懸命に宥めるも、合理性を重視する龍之助が自分が選んでも相手に合うか分からないと逆撫でする言葉を口にする。
泰弥はその場を何とかする為、龍之助を止めようと彼の肩に手を掛けた。
その瞬間、かつて図書カードを手に、自分自身で欲しい本を選んだ記憶が泰弥の脳裏に蘇った。
感想
今回は図書カードのお話から始まり、朝日河神社書店、閉店の危機をベースに、プロポーズに悩む女性、自殺を考えている中学生、売り上げアップイベント、泰弥と神様等が描かれました。
今回はその中でも自殺の方法を求め、書店を訪れた置嶋君の話が印象に残りました。
彼は学校でいじめに遭い、相談できる友人もおらず死を選ぼうと漠然と考えていました。
物語は泰弥が勧めた本により、彼は死とは何かに気付き自殺を思いとどまりました。
エピソードを読んでいて、昔ラジオで聞いたピエール瀧さんの言葉を思い出しました。
死を選ぼうとする時、周囲が全て敵に感じるかもしれない。
でもその枠の外には違う世界が広がっていて、自分を受け入れてくれる場所はきっとある。
だから死ぬな。
瀧さんは色々問題もあったりしましたが、あれを聞いた時からずっとファンで今も好きです。
話がそれましたが、吹っ切れた感じの置嶋君の顔が凄く良かったです。
まとめ
神様のいる書店のお話はこれにて完結。
作者のヤマモトマナブさんは2022年春から新連載が予定されているようです。
北海道の高校、その放送室で起きる怪異譚。
オカルト、大好きなので凄く楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
作者のヤマモトマナブさんのTwitterはこちら。
この作品は少年画報社の公式サイトにて第一話を無料でお読みいただけます。