片喰と黄金 6 ヤングジャンプコミックス・ウルトラ
著:北野詠一
出版社:集英社
黄金を手に入れるという共通の目的から主人公アメリアの仲間になった元教師のエリ・ブルームフィールド。
そのエリを連れ戻しに来た、彼の妹セルマと幼馴染のハイラム。
アメリアはエリと共に西に向かう為、セルマ達にブラグというトランプを使ったポーカーに似たゲームで勝負を挑む。
登場人物
ラルフ・ホーキンス
イザヤのパトロン
金髪顎鬚のイケメン。
アメリアのどストライクだったらしく、彼女は出会った瞬間、ラルフに求婚した。
シカゴで事業拡大を行っている父に代わり、セントルイスでの事業を統括している。
イザヤとは幼馴染で、二年前、彼の家が消失し両親を亡くした事を発端にイザヤに援助を続けている。
街の発展に貢献した事でホーキンス家は住民から慕われている。
イザヤの家、ワインスタイン家も街の発展には貢献したが、イザヤの父は強引で横暴で傲慢だった為、住民からは嫌われている。
あらすじ
ブラグでの勝負はアメリアとエリの友人、ハイラムとの対決になった。
彼はエリのもう一人の妹、シルビアとの結婚を望んでおり、その後押しをするという条件でセルマに協力していた。
エリはちゃらんぽらんなハイラムが義弟になる事に反対だった。
勝ってくれ。
そう言ったエリに言われなくてもと、アメリアは勝負を始めた。
ブラグはポーカーの様にスート(トランプのマーク)とランク(数字)の組み合わせで勝負が決まるゲームだ。
ただ、ポーカーと違いカードは三枚、カードの交換は無しだ。
運の要素が強く、勝つ為にはブラフを使った心理戦が肝になる。
アメリアは素人ながら気持ちを表に出す事無く善戦するも、ギャンブルに一日の長のあったハイラムは強く追い込まれる。
チップ的に次が最後の勝負。
その状況に余裕を見せたハイラムはエリに語り掛ける。
エリが理想に燃えていた事は知っている。そして現実はそうじゃ無かった事も。
だがそれで投げ出すなんてらしくない。
理想通りじゃなくても程々に出来る事をこの街で頑張っていけよ。
ハイラムの言葉にエリは学校を良くしようと燃えていた頃を思い出す。
当初は自分が現場で踏ん張っていれば、上が状況を変えてくれると信じていた。
しかし妹のセルマがドンドン成長する中、現場は一向に変わらない。
全ては金なのだ。金があれば学校を整備しよりよい環境で子供達に教育を受けさせる事が出来る。
だから黄金の話を聞いて彼は西を目指した。
しかしハイラムの言う様に自分にそんな大それた事が出来るのかという思いもある。
それに未来の子供の為になっても、今の子供を投げだす事に変わりはない。
自棄になったと思われていた方がいい。
そんな事を考えていたエリを他所に、アメリアは勝負を続行。
彼女は苛立ちを覚えていた。
セルマもハイラムもエリが教師を捨てて、黄金を求めていると考えている。
だが違う。
「全部嫌になって投げ出す人は、教科書を持ち歩いたりはしないでしょう!? 先生は今だって”先生”です!!」
アメリアの言葉はエリの心に掛かった霞を消し飛ばした。
彼はテーブルにチップを置いて、
「学校を作る」
と宣言した。
感想
今回はエリの身柄を掛けたブラグでの勝負から始まり、開拓者の亡霊の噂のある駅馬車、セントルイス到着、アメリア求婚、レスリング大会、ボヤ騒ぎとコレラ等が描かれました。
その中でも今回はアメリアの従者コナーと鉄道技師テッドのレスリング対決が印象に残りました。
コナーは前巻で黒人奴隷ロスからアメリアを助けるためロスを撃ち、彼を庇ったアメリアを誤射してしまいます。
その事を引きずっていたコナーをテッドと彼の妻アンナは元気づけようとレスリング大会を開きました。
体を動かせば気持ちも動く、かなり脳筋なアンナの提案はコナーの抜け殻のようだった心を動かした様でした。
アメリアに依存していたコナー。
彼が自分のやりたい事を見つけられるのか、次も楽しみです。
まとめ
この作品はこの巻で集英社からの出版は終了。
出版社を講談社に変えて続刊するようです。
なんにしても続く事になって良かったです。
この作品はコミックDAYSにて一部無料でお読み頂けます。
作者の北野詠一さんのアカウントはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。