ながたんと青と ―いちかの料理帖― 6 KC KISS
著:磯谷友紀
出版社:講談社
ぎっくり腰で動けなくなった女将の愛子。
彼女の抜けた穴は大きく、いち日も周もてんてこ舞な日々を送る事になる。
その愛子から駆け落ちした妹、ふた葉の送った絵葉書を見せられたいち日と周(あまね)。
その絵葉書の写真から周はふた葉達が福井県、若狭湾付近にいるのではと辺りを付けた。
山口のホテルの支配人等からも情報を募り、その情報を元に周はふた葉と慎太郎を連れ帰った。
その後、二人は再び夜逃げしようとしたりと色々あったが、夜逃げしようとした二人を見つけたいち日の激怒で結局、桑乃木で再び働く事となった。
登場人物
恭子(きょうこ)
桑乃木の料理人見習い
そばかす女子。
見習いなので料理の腕はまだまだのようだ。
みちやの兄弟たち
次男幸哉(ゆきや)、長女明枝(あきえ)、三女美幸(みゆき)、三男和哉(かずや)、四男俊哉(としや)、五男道哉(みちや)。
戦争で母を亡くした彼らはバラバラに引き取られた。
みちやは一時期、和哉と俊哉と三人で親戚の佐藤家で暮らしていた。
その際、三人の食事はかなり貧相だった。
小夜子(さよこ)
周の兄、縁(ゆかり)と妻、鈴音(すずね)の娘
よちよち歩きの赤ん坊。
小夜子が乳母に取り上げられそうになった事で、鈴音は彼女を連れて旅行と言う名の家出を敢行する。
あらすじ
新聞社主催の料理コンテスト。
最初は出る気のなかったそれに、任された店を潰し料理に対して自信を失っていた慎太郎の為、出場を決めたいち日。
そのコンテストには桑乃木が大変だった時期に、料理人を引き連れ辞めた戸川が料理長を務める店、花房も出場していた。
駆け落ちした慎太郎達に激怒していた伯母の町子も、周の誘導で怒りの矛先を戸川に向け、コンテストの結果次第では考えてもいいと言質を取り、準備は着々と進んで行った。
そしてコンテスト当日。
嫌味な戸川をあしらいつつ、いち日、慎太郎、恭子の三人は恭子が出汁巻を失敗するといった事もありながら、慎太郎のフォローでどうにか料理を完成させる。
ひろうす 白味噌粕仕立て
豆乳のお粥 銀餡がけ
おから入り出汁巻
地味だが丁寧な仕事のその料理は、戸川が作った煌びやかな料理を押さえ、見事、第二位優秀賞を受賞したのだった。
感想
今回は新聞社主催の料理コンテストから始まり、みちやの兄弟、鈴音の家出などが収録されました。
今回はその中でも料理コンテストの話が印象に残りました。
主人公のいち日は料理のセンスは抜群ですが、女性という事で先々代の料理長だった父から直接教えを受けてはいませんでした。
ですので日本料理の基本となる出汁の取り方等は恐らく、厨房を覗き覚えたものだと思われます。
一方で慎太郎は先々代から出汁を褒められ、出汁を任される料理人でした。
店を潰し凹んで酒に逃げていた慎太郎。
彼のとった出汁の力で今回のコンテストは勝てたんだろうなと読んでいて感じました。
まとめ
今回のラスト、家出した鈴音を迎えに縁が桑乃木を訪れます。
子供を商売の道具としてしか見ていない縁。
彼をいち日達は変える事ができるのか。次も読むのが楽しみです。
こちらの作品はコミックDAYSにて一部無料でお読みいただけます。
作者の磯谷友紀さんのTwitterはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。