ヴィンランド・サガ14 アフタヌーンKC
作:幸村誠
出版社:講談社
ケティルの農場を奪うためのクヌートの策略から始まった戦いは、トールギルによる奇襲など有ったものの、王側の一方的な勝利で緒戦を終えた。
一方、アルネイズの死を経て、平和の国を作ることを彼女の墓に誓ったトルフィン達は、レイフと共に農場を離れようとしていた。
第94話 降伏勧告
あらすじ
戦いは農場側に甚大な被害をもたらし幕を閉じた。
クヌートは兵に略奪を禁じ、降伏の使者を送る。
血塗られた道を歩むクヌートに、スヴェン王の首が語り掛ける。
首は楽土建設のため死を積み上げるクヌートを首は正しいと肯定する。
彼の目には、進む道が積み上げられた躯で出来ているように見えていた。
その頃、農場側では戦いを続けるか、降伏するか話し合いが成されていた。
トールギルは戦いを続ける事を望んでいたが、スヴェルケルにより待ったが入る。
それを決めるのは、ケティルが負傷し意識が無い今、家を出たトールギルでも、隠居した自分でもなく、当主代理のオルマルだとスヴェルケルは言った。
オルマルは降伏を選択する。
トールギルは、戦の始まりはお前だっただろうと話す。
オルマルはそれを認め、馬鹿にされカッとなり、短慮を起こしたことを詫び、自分で始めたことは、自分で終わりにしたいと口にする。
戦を続けたいトールギルは、お前はあの時、名誉を守った。
一度守ったものは守り通し、ノルドの勇気を示せという。
オルマルは差し出されたトールギルの手を振り払い、あんなもん勇気じゃねぇと叫ぶ。
「自分は!王の前でしくじった!
嗤われて当然の馬鹿で無能な男だ!
なのに……なのに……オレには……
だまって嗤われる勇気がなかった……!!」
オルマルは嗤いたければ嗤えと、再度降伏を口にした。
スヴェルケルは決定を確認し、王に農場側の意思を伝えるよう指示する。
蛇はオルマルに同行することを申し出、オレは嗤わないと話した。
トールギルはやってられねぇと、家を後にする。
スヴェルケルは、意識の無いケティルに語り掛ける。
「大きすぎる富は災いを呼ぶ。
だが無駄に失う訳ではない。
農場と引き換えにお前の倅は男になった。」
一方、出航準備を終え船を出そうとするレイフ。
そんな中、トルフィンはこのまま船出していいのか迷っていた。
まだ間に合うんじゃないか?
彼は桟橋を振り返り、決める。
「ちょっと……忘れ物…」
感想
今巻はあらすじに書いたオルマルの啖呵の他にも、名シーンの連続です。
トルフィンの賭け、クヌートとの対話を通して、涙腺を刺激する場面が続きます。
ですが、一番の見どころは、ユルヴァが見せた怒りのアッパーです。
聖闘士星矢を彷彿させる見事な一撃でした。
トールズの血を一番色濃く引いているのは、ユルヴァなのかもしれません。
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