ながたんと青と ―いちかの料理帖― 5 KC KISS
著:磯谷友紀
出版社:講談社
料亭「桑乃木(くわのき)」を一年でもうかる店にする。
出来なければ桑乃木は無くなり、山口がホテルを建てる。
そんな約束を父親とした周(あまね)。
その事で経営状態の改善は急務となった。
周といち日(いちか)は話し合い、焼き菓子のマドレーヌを売り出す。
そのマドレーヌは芸妓市賀(いちか)の口コミの効果もあり、順調に売り上げを伸ばし、客足も伸び始め……。
あらすじ
店はいち日や周の頑張りと母、愛子や従業員たちの協力で少しづつ売上を伸ばしていた。
しかし、伯母の町子は周の事を山口の手先と誤解しており、彼の事を一切信用してはいない様だった。
そんな伯母、町子から祖父と祖母の法事を桑乃木でやりたいと話が持ち込まれる。
その法事の話とは別に、町子は母の愛子といち日にみちやの事を話す。
彼女はみちやに家庭教師をつけ跡取りとして教育を施せと促し、いち日に周と別れる事も考えておくよう話した。
それを聞いたいち日は怒りをあらわにする。
山口との見合い話は元々は伯母が持って来た物だ。
それを今度は別れろとか、うんざりだ。
そう言って机を叩いたいち日は今日は帰ってと町子を追い出した。
町子が桑乃木を思ってくれているのは分かる。
しかし、周も桑乃木を残そうと必死でやっている。
その事を町子も分かってくれればと、いち日はため息をついた。
感想
今回は法事の話から始まり、腰を痛めた愛子、駆け落ちしたふた葉と慎太郎の行方、周、ふた葉と慎太郎を連れ戻す、料理コンテストの始まり等が描かれました。
今回は慎太郎が語った以前の桑乃木と戸川の話が印象に残りました。
戦争で店を継ぐ筈だった高行が亡くなり、彼に代わって料理長になったのが戸川でした。
戸川はそれまでの桑乃木の味を変え、自分のやり方で料理を作り始めました。
その場面を読んでいると作中、慎太郎が語る様に戸川の料理には客の事が無い様に思われました。
料理は自分の舌に頼る所が大きく、自分が美味しいと思った物を提供する事は当然なのでしょうが、客の好みを考え寄り添う事もまた大切な様に思います。
自分では無く、食べてくれる誰かの為に。
先代はそんな事を思っていたんじゃないかな、今回のエピソードを読んでいてそんな事を思いました。
まとめ
今回、客足が増え手の回らなくなって来た桑乃木に、駆け落ちしたふた葉と慎太郎が戻ってきました。
先代の味を受け継いでいる慎太郎。
彼の加入で桑乃木がどう変わるのか、次も楽しみです。
こちらの作品はコミックDAYSにて一部無料でお読みいただけます。
作者の磯谷友紀さんのTwitterはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。